第6話 奥西圀誌三・ラシュナ誌
※以下URL七圀地図
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ラシュナスタンは
カフバルフの山並の麓には松や樅の森が広がっております。海と山麓の間の南北150
ラシュナとはアルヤナグの
ラシュナグ達の軍隊は、大きな盾を構え、鎧を纏った徒士たちから成ります。彼らは、善く鍛えられ、善く練られております。将軍や隊長の号令一つで速やかに陣形を組み整えます。一人のラシュナグは一人の蛮人に敵いませんが、百人のラシュナグは千人の蛮人を抑えます。その力強い軍隊により、ラシュナグたちはカフバルフの南側のブレグトル達を切り従え、貢ぎ物を取り立てております。
言い伝えによりますと、遥か昔ラシュナグ達は
ラシュナグ達が
ラシュナは九つの国に分かれております。それぞれの
ラシュナの
ここで一言申し加えます。アルヤナグでは、参拝者は神々に、臣下は君主に、奴隷は主人に跪拝礼をとることは極当たり前なことであります。ラシュナグ達の間では、奴隷ですら主人に滅多に跪拝礼をとることはありません。さながら、我々の間では牛馬が主人に跪拝礼をとらない様なものであります。ラシュナグ達の奴隷に対する扱いは、我々の牛馬に対する扱いよりも酷いのであります。
ラシュナグの
ラシュナグ達は、人の一生、国の命運は端から鬼神によって定められていると考えております。彼らの中で
ラシュナスタンは九つの国から成ります。九つの国は、北側の古き四つの国々フスシュプラルと南側の新しき五つの国々マフシュプラルに分かれております。またフスシュプラルことをトゥティナ・ラシュナル、マフシュプラルをトゥティナ・セサナルとも言い分けることもあります。
ラシュナスタンの国々は、国力の大小にかかわらず、夫々が皆対等だと思っております。故に一つの国に纏まろうとせず、夫々の国が商いや土地を廻って相争っております。
トゥティナ・ラシュナルは、フフルンサ、ファル・スラサ、ベトルナ、クレスナの四国から成る北の古き国々であります。ラシュナの古き俗を守り、自らを真のラシュナと呼びます。
ガヴェ・フフルンサルの河口に大きな島があり、その島にフフルンサの国がございます。島の真ん中の丘に酒の神フフルナスの社があり、島の浜沿いに城壁が廻らされております。ラシュナグ達は良い葡萄酒を造ります。フフルンサの葡萄酒も美味ですが、ラシュナの葡萄酒の中で特にい秀でているわけではありません。この国は酒の神フフルナスを祭り、祭礼の時には葡萄酒に酔い狂います。その習俗はカフバルフの北のパルシュナにも広がっております。ガヴェ・フフルナンサルを通じて、上流から木材や石材を切り出し、他のラシュナグの国々に齎しております。フフルンサの人口は八万七千で、兵に
カフバルフと
フフルンサの南30
ファル・スラサの南10
セトルナから東20
南の新しき国々トゥティナ・セサナルは、メンルヴァナ、タルフナ、セルトルタ、セイズラ、セラの五国から成ります。凡て古きフスシュプラルより移って、ブレグトルの諸族を征服して造られた国々であります。新しき国マフシュプラルでは、
クレスナから東30
ガヴェ・メンルヴァル河口の大きな入り江ルル・メンルヴァルの中の島には、女神メンルヴァを祭る大きな社が立っております。七圀の中でも最も大きく麗しい社の一つであり、バウビシュリの大社にも優るとも劣らないでしょう。社の周囲は堅固な城壁で囲まれ全体が聖域となっております。言い伝えに拠れば、女神と同じ名を持つ女王メンルヴァが、ラシュナの国々の争うにうんざりして、初めて移り住んだ地が其の聖域であったそうです。其の聖域は嘗ては町であったそうです。そのうち国が豊かになり、人が増え手狭になりました。島の対岸の角の地は、嘗てブレグトル達の地でした。時のメンルヴァナの王は、ブレグトルの酋長たちに僅かな金貨を与えて牛の革一枚の広さの土地が欲しいと持ちかけました。人の良いブレグトル達は快く認めました。そこでメンルヴァナの王は牛の革を細く細く切って糸の様にし、島の対岸の角の地を囲い込んで城壁を築いたそうでございます。ラシュナグは皆商いに長けておりますが、メンルヴァナの商人は殊に秀でております。故にメンルヴァナグ達は「嘘を付かずに人を騙す」と謂われております。
メンルヴァナの人口は二十五万八千で、兵に
ガヴェ・メンルヴァルを北30
二百三十六年、ベオルナーン族はバルシュナを貫いた後、カフバルフを超えました。この時クトゥンガの町は焼き尽くされ、奪い尽されました。ドルナタル達のある者は殺され、ある者は捕らわれ、多くは逃れて野を流離い、ある者はベオルナーンの徒党に加わりました。ラシュナスタンは蛮人の軍勢のみならず、飢えた難民や荒ぶる盗賊たちに溢れて大いに乱れました。ベオルナーンの軍勢は、進みやすいメンルヴァル川沿いに南に下り、メンルヴァナを目指して進みました。
メンルヴァナの国は、近隣の国々の援軍も加え、数万の軍勢を集めてベオルナーン族の軍勢を迎え撃ちました。しかし、戦の要領を得ず、敗走してメンルヴァナの町に逃げ込んでしまいました。メンルヴァナの陸側の城壁は三重に廻らされ、主城壁は高く分厚かったので、何とかベオルナーンの攻撃を防ぐことが出来ました。しかし、ベオルナーンたちは周囲の守りの弱い国々にも矛先を向け始めておりました。
メンルヴァナの国は、聡明で戦上手なジュルニセ・カルバイズナの二十年の統治の間に、国力が盛んになりました。しかし、この敗戦の十年ほど前、ジュルニセは国人たちと不和になって追放され、海を隔てた
齢六十ながらも意気益々盛んなジュルニセ王は、船に精兵を載せてベオルナーン族の背後に上陸しました。要害堅固なメンルヴァナの城壁と戦上手なジュルニセ王の精兵に挟み撃ちにされたベオルナーン族は壊滅しました。多くの者は殺され、生き残った者も、男は殺され、女子供は奴隷にされました。
ジュルニセ王は再びラシュナスタンのマルズバーンになり、十年の治世の後に卒しました。その後を継いで
メンルヴァナより東30
セイズラから北10
ルルクレスナルという大きな入り江が有り、その入り江にはガヴェ・ルムセレ河とガヴェ・トゥラリル河が注いでおります。ルルクレスナル湾とガヴェ・トゥラリル河が、ラシュナスタンと
セイズラから東15
セイズラから東25
セレより東25
メルカスィより東10
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