第3話 日没圀誌・西陲圀誌

※以下URL七圀地図

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 次に日没圀Widadafsh西陲圀Sawah、西南蛮の国々について申し上げます。


 内津圀Xwanirah bum日没圀Widadafshの境目は大河ナフルであります。ナフル河から南の彼方、果てしなく砂漠が広がる地こそが日没圀Widadafshであります。更にその彼方には西陲圀Sawahが連なっているそうです。彼の地は内津圀Xwanirah bumよりも渇き、遥かに暑く、水も木も乏しい土地であります。


 ナフルの彼方パラナフルの大砂漠には、山羊・羊に随いて水草を逐うヌフィーグたちが蛮居しております。彼らは遊牧民ですが、トゥルクズとは違って馬に乗りません。時にはニャムドやシャンド―、緑洲abadにて田畑を耕し、時にまた遊牧に戻るなど生業を変えます。豊かな者は駱駝を飼います。彼らの駱駝は一瘤ですが、内津圀Xwanirah bum奥東圀Worujarshtの駱駝よりも大きく力強く、飢えや乾きに善く耐えます。

 ヌフィーグたちの言葉はニャムドの民とほぼ同じであります。ヌフィーグとニャムド人は元々同じ先祖から別れたそうです。遥か昔、ニャムドとパラナフルの地の民は大洪水によってナグローズとニャムローズの兄弟及び其の一族を除いて死に絶えてしまったそうです。二人の兄弟が落ち伸びた場所が、西の白海Dryay Spedに面するジャバルヌクの山々だそうです。これは蒼狼カイ・ムルウ可汗Qaghanがエルゲネコンに籠りし頃の話の様です。大水が引いた後、ナグローズは砂漠の地で家畜を追い、ニャムローズはナフルの畔で田畑を耕す様になり、夫々ヌフィーグとニャムド人に分かれて今に至ったそうであります。

 ヌフィーグたちは三十程の部族に分かれております。その中にはアルドゥクシャフルに従う者、誼を通じる者、或いはラシュナグに誼を通じる者、どちらにみ組せぬ者、まつろう者、まつろわぬ者などがおります。凡そニャムドやシャンドゥ―で隊商や町や村を襲う者は、まつろわぬヌフィーグたちであります。

 有力な部族の中には隊商を組んで日没圀Widadafshの南の果て、奥西圀Worubarshtのラシュナグの国、西の果てを越えて西陲圀Sawahに至る者までいるそうです。南の果てには乳香海岸Kundurbarが広がり、莫大な量の乳香が齎されます。

 乳香海岸Kundurbarの西南には白い峰を頂く山があり、その大きな谷間に黒人国Zangistanがあるそうです。彼の地の黒色人Zangigは背が高く見目の好い姿をしております。彼の地からはヌフィーグの隊商を通じて没薬・象牙・黒檀・奴隷などが齎せれます。そこから更に西には西陲圀Sawahの大砂漠が広がっております。パラナフルの大砂漠よりも遥かに広く、何処まで続くのか誰も知りません。

 西陲圀Sawahの大砂漠には、レヴィ人と言う蛮族が住んでおります。ヌフィーグの様に歩いて家畜を追う者もいれば、緑洲abadで田畑を耕す者もいるそうです。見た目はヌフィーグの様な者、黒色人Zangigの様な者、或いは両者の混血の様な者まで様々です。言葉はヌフィーグとも全く異なる様であります。

 大砂漠の北端には白い峰を頂く山があり、その北麓には豊かな森が広がっております。そこには農耕を営むレヴィ人が住んでおります。しかし、北岸の良港にはラシュナグたちが城市・城塞を建て、彼の地のレヴィ人を支配しているそうです。その中で最も大きな城市はカルバイズであり、西陲圀Sawahの各地から、金・銀・銅・錫・鉄や碧玉、象牙や奴隷を集めて本国へ送るそうです。我々が蜥蜴Karbashと呼んだラシュナグの王はカルバイズの出だったそうです。


 ここまでが日没圀Widadafsh西陲圀Sawah、西南蛮の国々の話でございます。

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