第12話⑫
その後、ぼくたちには子供が三人生まれた。三人目の子供は、障害を持っていたがその子の明るさが、家族の絆を一層深めてくれている。
ぼくの畑と田んぼは順調に作物を生み出している。だからといって経済が豊かになったわけではない。露地の有機栽培をしているから、手間ひまが掛かるが、生産性は低い。
美奈子ちゃんは、相変わらず看護師のつとめをして、ぼくの借金を払い続けている。月に二回は、玄米さんの船で、家族そろってレマ島に渡り、教会の掃除や修理をしている。
この海岸に戻ってきたとき、この海岸の海風が僕に何かを伝えようとしていた。本当に語っていたのだと思う。
やっと「消えた島」に戻ることが出来た。今、そのことを感じることができる。海風がとても穏やかに吹いている。
了
消えた島(五島列島に生きる) 里岐 史紋 @yona
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