彼女らの錯綜

 ヒロインのピンチを颯爽と救い、早々と立ち去っていこうとするヒーローに対し、「何かお礼を!」何て台詞をヒロインが投げかける。

 そんなシーンは映画やアニメなど創作物ではよく見るありふれた展開だが、事、俺達の人生においてはそんなシーンは1コマも存在しなかった。


 「結局パンツ見れなかったな」

 「あぁ、あんなピンチ救われたら普通、喜んでパンツくらい見せても良いと思うんだけどな」


 幸平のつぶやきにため息交じりに返す。

 時刻は昼休み、購買で買ってきたパンを頬張りながら、俺と幸平は学校の屋上で昨日会った出来事について二人でぼやいていた。


 「パンツ見てえなぁ」

 「あぁパンツが見てぇ」


 そんな俺達の儚い願いは吹いてきた風に乗り消えていく。

 やるせない気持ちをどうにかしようと俺は一口大になったカレーパンを口の中に放り込み、包み紙をポケットに無造作に突っ込んだ。

 見ると幸平も既にメロンパンを完食済みのようだ。


 「じゃあ、スマホでエロ動画でも見るか」

 「あぁそうだな」


 昼食をとり終わり、いつものように俺はそんな提案を投げかけた。

 幸平はそれに首肯する。


 スマホの画面をスクロールしながら目についたものを片っ端からタップしていると幸平が「おっ」と声を漏らした。

 俺はその声の意図を促す。


 「いや、今、脱ぎ配信やってんだよ。ニカニカ生放送で、ほら、エロくないか?」


 そういって幸平がスマホを俺が見られるように傾ける。

 見ると画面には右から左へと流れるコメントの中、20代前半と思われる女性がブラジャーのホックに手をかけている真っ最中だった。

 顔立ちは整っており、テレビ映えしそうだった。


 「お前はたまにいい仕事をするな。」

 「たまには余計だけどな。」


 俺達は二人で画面にくぎ付けだった。


 画面では、もうすぐ女性の胸が露になろうとしている。

 流れるコメントの勢いと共に俺達の鼻息も一層荒くなっていく。


 「もう少し、もう少しだ!」

 「いけ!そこだ!」


 俺達は腕を上下に振りながら、画面の女性に精一杯のエールを送る。

 そんな俺達の視界にはスマホの画面しか映っていなかった。

 だからだろうか。


 「何見てるの?」

 「「あぁ!?今いいとこだからちょっと黙って――――」」


 徐々に近づいてきていた幼馴染のひいらぎなずなの気配に気づけなかったのは。


 俺達二人は視界になずなが入ると同時に完全にフリーズした。

 固まった幸平の手からスマホをひょいと手にするとなずなは「ふーん。」と何やらひとりでに納得している。


 「まぁ、こんなことだろうと思ったけどね。」


 なずなは半眼で、ため息交じりにそう言うと、幸平の手にスマホを戻す。

 スマホはホーム画面へと回帰していた。


 「いやぁこれは、違うんですよ。なずなさん、なんか、こう、社会勉強といいますか何と言いますか。な、幸平?」

 「あ、あぁ。丁度、脱衣のギネス記録挑戦を生放送で見守ってたんだよ。な、翔太?」


 俺達は精一杯の笑顔を顔面に張り付かせる。

 そんな俺達のことをジトーっと睨みつけながら、俺の隣でフェンスにもたれかかり、紙パックのリンゴジュースを吸っているなずなに対し、俺達は急に脱ぎ配信を見ているところを割って入られたもんだから、変な焦りで妙な弁解をしてしまった。


 「いやまぁ、別に好きにすればいいと思うけど……。あんた達がこんななのは今更だし……。」


 あきれ顔で言う、なずなのその言葉に俺達は我に返った。

 そう相手は幼馴染である、なずな、なのだ。何を今更恥じることがあろうか。

 そんなことを思うと俺達の心を侵食していたいたたまれない気恥しい感情が一気に去っていくのが分かった。


 「確かに。俺達はなにを恥ずかしがっていたんだ!幸平早くさっきの画面に戻れ!」

 「おう!しばしまたれよ!」


 妙な口調で返答した幸平の手は素早くスマホを操作していく。

 4,5回タップやスクロールを繰り返しやっと放送ページにたどりついた。それを歓喜の笑顔で迎える俺達の目に映ったのは、配信がすでに終了していることを知らせる画面だった。


 「「ああああああああああああああああああああああああああ!!」」


 俺達の悲痛な叫びが雲一つない快晴の空に天高く木霊する。

 そこに昼休み終了を告げるチャイムが鳴り、不格好なハーモニーを奏でていた。


 なずなは俺達の様子をやれやれと首を振り嘆息すると、一人、教室へと帰っていくのだった。





 「絶好のチャンスを逃してしまった…それもこれもお前がスマホをなずなに渡すから……。」

 「俺のせいだって言いたいのか?お前も大口開けて固まってたろ。」


 俺の吐き捨てるような物言いに腹を立てた幸平が反論してくるが、それに腹を立てた俺は先ほどより語調を強めて幸平に口を開く。


 「スマホ持ってたのはお前なんだからお前のせい以外の何物でもない、俺に非はないね!」

 「お前そこまで言うのかよ!見損なったわ!」


 俺達は昼休みの鬱憤をお互いに擦り付けて晴らそうとする。

 やがて、どちらともなく口論が終わり、俺たちの間には何とも言えない虚無感だけが残った。


 「はぁ…誰かおっぱいとまではいかなくともパンツくらい見せてくんないかな。」

 「あぁ…パンツくらいならみせてくれてもいいのにな。」


 昼休み同様、俺達は夕暮れ染まる放課後の教室の隅で、皆が帰り支度やら部活動への準備をしている中、二人、そんな願望を口にするのだった。


 「あのさ、折本翔太と川谷幸平って奴いる?」


 すると、教室の入り口付近から俺達の名前が呼ばれ反射的にその方向に目を向けてしまう。

 そこには制服を着崩し、髪は茶髪に染め上げられ若干カールがかったセミロングのばっちり化粧の見覚えのある、な格好の女子生徒がおとなしそうな女子生徒に話しかけている姿があった。

 昨日パンツを見せてくれないかと懇願させていただいた本人であるギャル、笹木ささきさんその人だった。





 「(おい、もしかして俺達卒業しちまうんじゃねえか、遂にあれを。)」

 「(あぁ、それしかないだろう。むこうから誘ってきたんだ、パンツどころの騒ぎじゃないはずさ。)」


 前を行く笹木さんに気づかれないよう、幸平とコソコソと密談を交わす。

 俺達はあの後、笹木さんに「用があるから付いてきて」と呼び出され、こうして笹木さんの後をついて行っているというわけだ。


 「(おい、でも俺、アレ用意してねえぞ。向こうが用意してくれてんのかな?)」

 「(何言ってんだ翔太。相手は経験豊富だ、用意してくれているはずさ。)」

 「(そうだよな。俺としたことが無駄な心配をしちまったぜ。)」

 「(何やってんだ。落ち着きが大事なんだぞこういうのは。)」


 幸平とそんな話をしているとどうやら目的地に到着したようだ。

 そこは校舎の三階の東棟の片隅にひっそりと存在している、空き教室だった。

 昔は音楽室として使われていたが、新しく音楽室が設けられたため不要になり空き教室になったらしい。

 今ではヤンキー達が喫煙するのに使われているという噂を耳にするが今から俺達が行う事を考えたらそんな噂些細なことだ。


 笹木さんが先に教室に入ると俺達もそれに続き、戦場へと赴く兵士のごとく足を教室の中へと進める。


 すると中では、又も昨日見たであろう面々がにやりとした笑顔で俺達を迎え入れてくれていた。





 「ふぅ……やっと終わった。」


 あたしは人がすっかり少なくなった教室で日直の仕事である学級日誌を書き終わり、家路につくための身支度に取り掛かる。

 昨日の今日なので、あまり学校に長居はしたくなかった。

 早々と身支度を済ませ、教室を出ようとするが、その時、携帯の着信が鳴り響いた。

 突然の事で少しビクッとしてしまったが、あたしは呼吸を整えると着信画面に目を向ける。

 非通知からの電話だった。

 なんだろうと不思議に思いながらも電話をとると聞き覚えのある男の声が聞こえてきた。


 「お前の知り合いの男二人こっちで拘束してるから、三階東棟の空き教室にきてくれよ。誰かに言ったら承知しないからな。」


 血の気が引いていくのが分かった。

 知り合いの男二人、思い当たるふしは一つしかない、それにあの声、昨日あたしを襲った集団の中の一人だろう。


 なんで、あの二人だってわかったんだろう……。姿は見せてないはずだし……じゃあなんで!


 あたしの頭の中を色々なものが駆け巡り、恐怖と不安と焦りといろいろな感情がないまぜになりパニックを起こしそうになる。

 だが、その寸前であたしは何とか踏みとどまった。


 そうだ、昨日は二人があたしを助けてくれた。今度はあたしが二人を助ける番だ。


 ふーっと深く息を吐くとあたしは歯を食いしばり、決意を胸に教室を後にした。





 見事につかまってしまった。

 俺達は、何処から持ってきたのか、長縄で椅子に人質さながらの格好で括り付けられていた。

 電話の内容を聞くに、なずなが今からこちらに向かってくるのだろう。

 なずなに申し訳ない気持ちと期待はずれに残念な気持ちが重なり俺達の心はどん底だった。


 「卑怯だ!俺達がどれほど性に素直かお前らは知っているだろうに!」

 「そうだ!昨日の出来事でそれは明らかだろうが!」

 「いや……あーしも流石にここまで上手くいくとは思ってなかったけど……。」


 俺と幸平の抗議に笹木さんは若干引き気味で返答する。

 どうせなら見事成功したんだから盛大に喜んでほしい、じゃないと騙された俺達も報われないというものだ。


 「本当、摩耶のおかげだな!お前がたまたまこいつらの姿を目撃してなかったら俺達はなすすべ無しだったからな。助かったぜ」


 おそらくリーダー格であろう集団の一人が摩耶まや――笹木さんに笑いかける。


 「まぁ、あーしもたまたまだしね。それより、ん。」

 「なんだその手は。」


 笹木さんはそう言うと、その男に何かをせびるように手を出すが、当の男は頭にはてなを浮かべている。


 「は?10万くれるって約束でしょ。だからあーし、こんなことまでしたんだけど」

 「まだ気づいてないのかこいつは。」


 そう言って含み笑いをする男。

 それに呼応するように笹木さんの反応をニヤニヤと見守るヤンキー達。

 それを見た笹木さんは自分と彼らの間にある圧倒的な隔たりを自覚したようだった。


 「騙したの!?あーし達は共存関係だったはずでしょ!」

 「何言ってんだ。面倒な事にならないように適度な額でお前を使ってやったり使われたりしてやったが、10万何て金払えるわけないだろう?お前が渋るから出すと言っただけだ。お前を切るにもいい頃合いだったしな。」


 笹木さんの涙ながらの訴えに男は尚もニヤニヤと宣告する。

 その後、笹木さんの訴えも虚しく、男達に俺達と同じように椅子に括り付けられ人質の一人となってしまった。

 なんだか笹木さんが不憫になった俺達は笹木さんにエールを送ることにする。


 「笹木さん!こいつらが笹木さんを捨てても俺達が笹木さんを救ってみせるよ!」

 「あぁ俺達が10万で笹木さんを買おう!」

 「あんたらのその謎の活力はどこからくるわけ……。」


 俺達の言葉に笹木さんが半ば呆れ気味に笑う。

 思うところと少し違ったが、まぁ結果オーライだろう。


 そのやり取りのすぐあと、入り口の扉が勢いよくガラッと開かれた。


 「翔太!?幸平!?」


 そこには全速力で走ってきたであろう、肩で息をする幼馴染の姿があった。ブラウスは汗で肌に張り付いている。


 「なずな、すまん迷惑をかけた」

 「ごめんななずな、姑息なトラップに引っかかってしまった」


 幸平と俺はそうなずなに謝罪する。

 なずなは俺達の元気そうな顔を見るとホッと安心した表情を見せた。

 その後、俺達の隣で縛られている笹木さんを見て少し困惑したようだった。

 なので俺が少し補足をしてやる。


 「あー、隣の人は笹木さんね、仲間に裏切られてこっち側に加入したんだよね」

 「そう、哀れな奴だ」


 俺の言葉に幸平が付け加える。

 笹木さんは返す言葉が見つからないのか気まずそうな顔で沈黙を貫いていた。


 「へ、へー……。」


 なずなもこれまた気まずそうにそう声を漏らす。


 しびれを切らしたのかリーダー格の男は大きな咳ばらいを一つすると、なずなに向けてニヤリとした嫌な笑みをたたえながら口を開く。


 「で、お前に来てもらったわけだが……早速、裸になってくれ。」


 瞬間、なずなの顔がこわばったのがわかる。足は若干小刻みに震えていた。


 「なずな!そんなことしなくていい!」

 「こいつらは俺達がけちょんけちょんにしてやる!」


 俺達はそんななずなを見るに堪えられず思わず声をあげてしまう。

 そんな俺達になずなは一つ笑顔を向けると、大丈夫と手で合図を送る。


 「なんでか理由を聞いてもいいかしら?」

 「お前らが昨日のことを口外しないよう弱みを握っとかないとな。」


 なずなは男達の前まで来ると、男達をキッと見据えたまま、毅然とした態度で答えた。

 それに対し男は尚も憎たらしい笑みを張り付けて笑っている。

 そこで、男は思い出したかのように「あっ」と声を上げた。


 「そういえば、摩耶に関してはこいつが脱いでもノーダメージだよな?」

 「……っ。」


 笹木さんは男の言葉に唇をかみしめ、悔しそうにうつむいている。


 「じゃあ、摩耶も隣で脱いでくれ。お前の弱音も握っとかなきゃな。」


 男のそんな言葉を半ば予見していたであろう笹木さんは男達に縄をほどかれるとなずなの隣に陣取った。

 笹木さんの目は再び涙に支配されようとしていた。

 取り巻きの男の一人が弱音入手のためにスマホのビデオを回す。

 俺達は見ている事しかできなかった。


 「そういえば、ここってどこだっけ?」


 そこで、なずなが重苦しい空気を壊すように努めて明るくリーダー格の男に質問を投げかける。


 「東棟三階の片隅だが、ヌードビデオをとられる場所の確認でもしたかったのか?」


 そう言って、取り巻きと大笑いする男達。

 その中になずなのぷっふふふという含み笑いが混じり始める。

 その様子に気づいた、その場にいた全員はなずなの行動にポカーンとしていた。

 そんな不可思議な雰囲気の中なずなは大笑いしながら口を開いた。


 「実はこれ、全部生放送で流れてるんだよね。」


 そう言ってなずなはスカートのポケットからスマホを取り出すとその画面を俺達に見せつけてくる。

 画面には右から左へとコメントが流れ、間抜けな面をして固まっている俺達の様子を映し出していた。

 なずなのその言葉を聞いてもその場にいた全員は未だポカーンとしていた。

 だが、その間にもなずなはぺらぺらと言葉を紡いでいく。


 「クラスや学年、学校のグループLIMEにニカニカ生放送のURL張りまくって、本当大変だったんだから。あたしに感謝してよね二人とも。」


 ようやく理解が追い付いてきて、ゆっくりとだが今起こっている事の顛末を飲み込めてきた。

 それは他の人達も同様のようで俺達と笹木さんは安堵の顔を浮かべ、ヤンキー集団は冷や汗をだらだらとかきはじめていた。


 「場所もご丁寧に教えてもらったし、今回は事が事だからね、警察さんにも、とーーーーぜん、来ていただいております!」


 なずなはノリノリだった。

 余程昨日のことで鬱憤が溜まっていたのか、こんなテンションのなずなは小学生からの幼馴染である俺でも見たことがなかった。


 ヤンキー集団はと言うと、なずなのその一言が決め手になったのか無気力で床に突っ伏していた。

 もうじき警察に連行されていくのだろう。


 なずなはそんな彼らを見て、すごく楽しそうに笑っている。

 なずなのその様子を眺めていると自然と頬が緩んでしまった。





 「それにしても、まさかあんた達の変態行動からヒントを得るとは思わなかったわ。」


 なずなの手柄で事件が解決し、俺、幸平、なずな、笹木さんの四人での帰り道。

 なずなはあきれ顔で不服そうにつぶやいた。


 「ふっ俺達の華麗な策略が見事にはまったな、なぁ幸平?」

 「あぁ、計画通りだ。」


 俺達は顔を見合わせてしたり顔で言ってのける。

 なずなはそれを見て、より一層あきれているみたいだった。

 俺達がそんなやり取りを交わしていると、笹木さんが「あのっ」と声を上げる。俺達はその方向に目を向ける。

 笹木さんは俺たちの視線を避けるように俯いていた。


 「助けてくれてありがとう。それと、あーしのせいで本当ごめん。」


 笹木さんはそう言って俺達に向かって頭を下げてきた。

 俺達は苦笑交じりに三人で顔を見合わせる。


 「まぁ、笹木さんに非がないわけじゃないけど笹木さんも被害者みたいなもんだし……ねぇ?」

 そういって二人の方を仰ぎ見ると二人も俺の意見に同調してくれた。


 「いや、あーしは悪いことをした。お金のためにあんなことをしたんだよ……報いを受けるべきだと思う。あーし、何でもするよ。何かない?」


 そう問うた笹木さんの瞳は真摯だった。

 笹木さんは意外と頑固らしい。

 何もお願いせず、放っておくと自責の念で押しつぶされてしまうかもしれない。

 

 俺と幸平は顔を見合わせる。考えることは同じなようだ。


 「じゃあさ、一つお願いがあるんだけど。」

 「あぁ、俺達から一つだけお願いだ。」


 その言葉になずなは何かを察したのか額に手を当て、大きなため息を吐いていた。

 そんなこともつゆ知らずの笹木さんは「何?あーし何でも聞くよ!」と意気込んでいる。


 そんな笹木さんに俺達は一つだけお願いをすることにした。


 「「パンツを見せてくれないか?」」

 「……へ?」


 俺達のお願いにポカーンとしている笹木さん。

 そんな笹木さんになずなが「じゃあ、あたしからもお願い良い?」と質問すると、笹木さんはポカーンとした表情のまま、なずなの勢いに押されるように「う、うん。」とだけ返答する。


 「じゃあ、あたしからお願い、こいつらのお願いを無視すること!」

 「「「……」」」


 なずなの発したお願い内容に今度は笹木さんに加え、俺達二人もポカーンとする。

 数秒後、笹木さんはふふっと笑った後。


「わかった、あーし、なずなのお願いきくことにするよ!」


 と満面の笑みで有言実行したのだった。


 すっかり早くなった日の入りのおかげであたりには夜のとばりが落ちようとしている。その中で俺達二人の必死めいた抗議は夏の終わりまで精一杯鳴き続けるセミたちにも負けずとも劣らない大きさで響いていた。

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パンツが見たい 木ノ本迷路 @aaa12345

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