絶対お腹壊すマンのための 宇都宮線攻略法

街耳

はじめに

 宇都宮線は、東北本線の一部であり、上野を始発として大宮、小山、宇都宮、そして黒磯へと延びる区間をさす。沿線の栃木県民にとっては栃木と東京を繋ぐ生命線的存在といえるだろう。栃木県南部在住の筆者もまた、宇都宮線を使って幾度となく上京してきた。

 しかし、時よりその快適なる上京を妨げてきたのが、原因不明の体調不良である。これは最寄りから座れず、壁際に立ちっぱなしという状態が続いたときに起こりやすい(気がする)。だんだんと頭がぼーっとしてきて、顔が青ざめ、どうしようもない吐き気とともに無限にあくびが出続ける。「これは…もうムリだ!」と思って席に座ろうとするが、もちろんどこも開いていない。優先席でふんぞり返るリーマンよ、我を優先したまえ~、なんて思いつつも、次第に体調不良は強まってしまう。「辛すぎる……。途中下車しよう」そう覚悟して、目の前の駅に降りてゆく。駅のトイレやベンチで休息をとると、なんとか、後続列車に乗れる程度には回復する。

 このような現象が、ここ2年間で3度あった。筆者は宇都宮線を使って通勤・通学しているわけではないから、宇都宮線を利用するのは高々月1回程度であるということを鑑みると、それなりに高い頻度ではなかろうか。

 それなりに体調不良を繰り返していると、だんだんと対処法が見えてくる。学習してこその人間だろうよ。具合が悪くなっても、それが「いつもの」体調不良なら、途中下車して休めばよい。休めば次の電車に乗れるのだ。そして、体調不良を見越して1本早めの電車に乗っているから、遅刻すると言うこともない。それだけではない。途中下車した「後」を見据えた対策もだんだんと見えてくる。どの駅で降りるべきか(=どの駅まで踏ん張ろうか)ということである。一駅の違いは大きい。自治医大駅以北と小金井以南では列車本数が劇的に異なるだろうし、久喜駅と新白岡駅では快速停車の有無や代替私鉄の有無など条件が大きく異なる。

 こうした対策をまとめているうち、「このような『体調不良対策本』は、もしかしたら他の人にも需要があるのではないか」と考えるようになった。いつも体調不良を繰り返している人なら、筆者の対策本を利用してよりよい宇都宮線ライフを送ることが出来る。普段は元気な人が珍しく電車内で体調を崩したとしても、筆者の対策本で緊急対応が出来る。このような思いから、本書の執筆に至った。

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