独特のさっぱりした、気づくとひょいひょい読んでいってしまう語り口。古いライトノベル風のゲームっぽいファンタジーと、もう少しそういうものに踏み込んだ、今風のゲーム風ファンタジーのどちらの息吹も感じる。
挫折した男が出会いによってもう一度奮起する物語としては、サクサクと読ませつつも熱さ、ドロドロとした感情を感じさせるところがあり、面白かったです。相棒のドラ子を初めとして、ぶっ飛んだ元恩師や愚直過ぎてらぶきっちょな騎士なんかのサブキャラクターも素敵なキャラで楽しい。酒場のマスターもカッコよかった。
最後まで読み終わった後、もう少し先が読みたいかなあ……と思いつつ、元々そんな暑苦しい話でもないのでこのくらいがちょうどいいのかも。(言っといてなんだけど、あんまこの作品にそういうねちっこさみたいなのも合わない気はするんだよなあ)全体的に渋い年齢のキャラクターが多く、ライトながらキャラクターの人生も想像させる語り口が読んでて面白かったです。
例えるなら日なたの大きな石みたいなファンタジーかなあ。ド派手さはないけど温かさはあってしっかりとしていて、堅苦しすぎない。
今風になっているけれど、昔好きだったライトノベルくらいの軽さ懐かしさ、心に残る台詞やワクワクする空気なんかも感じて楽しかったです。