3-5 陣形
大楯を持ったガラハドが前に出ようとするのを「オーライ!」の声で止める。
両手に
このまま投げ返……おっと、そこまではしないんだった。
あたしが砲弾をポイ捨てしたのと同時に、ジンの
薙ぎ払い一閃。
「回復を」とガラハド。
「はい!」とサラが返事をして、あたしの手に
「いらないんだけど」と、あたしは言わない。ほんのわずかなダメージでも逐一回復して、万全の体勢で次の戦闘に備えるのがガラハド流だ。もう慣れた。
そんなこんなで、ナバル島の九合目を突破した。
前回はあたしと
「すみません、無理を言って」と、後ろからガラハドが言った。
「いやいや、これが一番理にかなってる」と、あたしは答えた。
「でも、攻撃をしないというのは、ストレスが溜まりませんか?」
ナバル島はどうやらあたし一人でも
あたしが攻撃をしないって縛りは、隊長の提案だけど、隊長が言わなきゃあたしから言うつもりだった。
「快適っつったらウソになるけど、もともと陣形戦の練習したいってのもあったからね」
「そうですか。でも、あなたなら
「まーね」たぶん、その気になりゃできる。
実際、
単独行にもメリットはある。
「けど、実はあたし、組もうって約束してる奴がいてさ」正確には一方的に命令したんだけど。
「それって、ドーラさんの恋人?」と、サラが声を弾ませた。
「そういうんじゃねぇんだ。あたしの弟子」しかも、
「お弟子さんがいたんですか」と、ガラハド。
「ああ。出来の悪い奴なんだけど、そのぶん次会う時が楽しみでね」
約束の日まで残り十ヶ月。
手紙にはなにも書かなかったけど、自分に足りないものはなにか、突き詰めて考えればきっと気づく――いや、あいつは現役時代から薄々気づいてて、踏ん切りがつかなかっただけなんだ。あたしの読み通りなら、あいつは今あの場所で修行してるはず。
……少なくとも、もう村からは出てるよな? 自主練でなんとかなるようなことじゃねぇぞ。
ん? あたし、なにか見落としてるような……。なんだろう? まぁいいか。
今は目先の戦闘を楽しもう。
「おいでなすったぜ」
山頂の墓標から、ナバル島のボス、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます