その舞は匂い立つ。目の前をゆらめきゆく裾に触れようとしても、伸ばした手は空を切り、これが遠い物語であることをあなたに突きつける。それでも、この物語を読んだ者は心を奪われたままに立ち尽くすでしょう。それほどの魅惑が、この短い文章にはあるのです。あなたも、きっとその緋色の虜となる。
凄かった。本当に、言葉を無くすほど凄かったです。綿密な設定と繊細な描写に裏打ちされた、甘美で妖艶な物語が、あれよあれよという間に読者を虜にします。これはもっと読まれるべきです。
これは実に甘露であります。読めば読むほどありがとうございます。美しく、そしてそれゆえに怖い。好き!
花蓮舞の舞手に魅せられた王は、彼女を王宮に召しあげた。彼女が月に一度、神のために捧げる舞い。王を魅了したその舞が、なぜ禁じられたのか。王が彼女の舞に酔うように、よい意味で読み進めながら文に、そこに描かれる色や青銅琴の音に酔うような感覚に襲われます。そんな感覚を体験したい方や、東南アジア系の作品スキーさんにお勧めしたい作品です。個人的には最後の、今に戻ってくる感がとても好きです。