道案内

 若いころ、どういうわけか、よく道を聞かれた。

 ほかに人がいても、なぜか私が選ばれる。

 なぜか、ひとりに聞かれると、その日はたいてい、別のひとにも道をたずねられた。

 また、なにもない住宅街に住んでいたのだが、一日で六人に道を聞かれたこともある。

 六人の目的地は全員ちがう場所だった。

 ふしぎなことに、道を尋ねられる日は、その日の朝に予兆がした。

 きょうは聞かれそうだな、と。

 しかし、さいきんは、聞かれることは少ない。

 その理由が、私に迷い人を引き付ける能力(?)がなくなったためか、スマートフォンの普及の結果によるものかは分からない。

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