高架横にて

 傘をさすほどではない小雨の中、帰宅のため、高架横を歩いていた。

 すると、向かいのほうから女が来た。

 胸になにかを抱きかかえている。

 なんだろうと注視すると、フェレットのようである。

 この近くに動物病院はないし、散歩なのだろうかといぶかった。

 さらにふたりの距離が近づくと、正体がはっきりした。

 女は、タオルを細長く丸めて、抱きかかえていたのだった。

 フェレットに見えたのは、私の錯覚であった。

 なぜ、女が、タオルを動物か何かをあやすように抱いていたのかはわからない。


 ※カクヨムで連載中である「短い話」内の「道案内」の元ネタ

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