名づけ

 働いている会社の支店に出向いたときの話。

 支店長との雑談の中で、災害時の避難場所をたずねたところ、目の前の首吊り公園だと言う。

 公園の名前に私が驚くと、支店長が笑顔で教えてくれた。

 (この店長はどんな内容でも、たいてい笑顔で話す)

 ある朝、支店長が出社すると、道路を挟んだ公園の木で、見知らぬ人が首を吊っていたそうだ。

 死体は、支店のほうに顔を向けていたとのこと。

 そのことがあってから、支社のひとたちは、その公園のことを首吊り公園と呼ぶようになった。

 首つり以後、とくに変わった出来事は起きていないが、首を吊る前も吊った後も、その支店の成績は悪いままではある。

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