虫の知らせ

 いままで聞いたことのない音がどこからか聞こえた。

 空耳のようだった。

 しばらくして電話が鳴った。

 直感的に、これは身内の死を知らせるものだと思い、受話器を取ると、本当に、元気だった母親の急死を知らせる、弟からの電話であった。


 というような話を、三人ほどから聞いた。

 その後、私も今まで感じたことのない、ことばでは言いにくい不思議な感覚に襲われたことがあった。

 もしやと思い、ひさしぶりに生家に電話したが、だれも死んでいなかった。

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