第4話 エンド
「ばーちゃん、ちょっとそこの安楽椅子に腰かけて編み物やってるふりしといて。私は外から見えないように、玄関でうずくまってるから。カーテンは閉めとくけど、狼が来たなーって思ったら『赤ずきんに会いたいわねえ、お見舞い来てくれないわねえ』みたいなこと言っといて。で、狼が『開けて』みたいなこと言ったら、『歩くのしんどいから自分で来て』みたいなこと言って」
「わかったわ」
数十分後
「バーチャン、ワタシアカズキンヨ。イレテ」
(めっちゃカタコト…)
「まあまあ、赤ずきんったら来てくれたのね。でも、おばあちゃんもう歩くのもしんどいから、自分で開けて頂戴」
「ワカッタワ」
きい、と扉が開いて、狼が頭を入れた途端、
「そいやっさあ!」
赤ずきんが、ギロチンの重しを括り付けていたロープをマチェットで切り、肉切り包丁を落とした。
「がっ………!」
ズドン。
綺麗な音がして、狼の首が落ちた。
「あらら、これじゃ斧いらなかったなあ。もしもの時のために用意しといたのに」
「あ、兄貴ー!!!」
「あ、兄弟居たのね」
「よ、よくも兄貴を!食ってやr」
「えい」
ドスッ。
「ぐ…ぐふ………!」
「あ、ばーちゃんこの斧切れ味良いね。私の腕力でもさっくり行ったよー」
「当り前じゃない。おじいさんの形見の斧なんだから」
「そういえば金の斧と銀の斧が裏の小屋にあったね。あれもじーちゃんの?」
「ええ、そうよ。泉にその斧を落とした時、女神さまが金と銀の斧持って出てきて『どっちがお前の斧だ?』って聞いてきて、正直に『どっちも俺のじゃないっす。俺のは普通のっす』って言ったら、斧返してくれた上に金と銀の斧おまけにくれたんで
すって。しかも、全部の斧に効率強化Ⅴとダメージ増加Ⅴのエンチャントつけてくれたとか」
「どーりで切れ味良いわけだ」
「そしてそんな幸運に恵まれた人を旦那にできた上に母がオーロラ姫の私は勝ち組…!」
「いろいろやらかして国追い出されたくせに何言ってんの朝姫ばーちゃん」
「お、おばーさん赤ずきんちゃんさっきの音と絶叫はなにってわあ!」
「狩人さん、狼仕留めました!」
「おお、すごいじゃないか赤ずきんちゃん!」
「まだだ…まだ終わらんよ!狼ブラザーズ三男坊、いっきま―s」
「うらーっ!狩人流乱れ撃ちーー!!!」
「た、退却ー!!!」
おおかみは にげだした!
「逃げましたね」
「大丈夫よ狩人さん。赤ずきんや、あの狼が逃げたのはどの方角だい?」
「南西……あっ…(察し)」
「ああ、あそこならエレンちゃんがいるから大丈夫だね」
「いとこのマルガレーテや知り合いの〇鬼さんも妨害しててくれたんだから、はとこのエレンちゃんもきっととどめ刺してくれるわよ」
「え、ばーちゃんなんでそんなこと知ってんの?」
「森の中から青〇さんの咆哮やマルガレーテの声が聞こえたからよ」
「なるほど。じゃ、ばーちゃんシャツとスカンツ買って」
「ええ、いいわよ」
「さ、さて、俺もそろそろ仕事に戻らなくちゃ」
「私も帰る。じゃあねばーちゃん」
何十分か後
「お母さんただいまー」
「赤ずきん、お帰り。エレンちゃん来てるから遊んであげて。お土産も持ってきてくれたのよ」
「あ、そうなの。エレンちゃーん」
「なあに?」
「お土産何?」
「ほら、そこに置いてある、
狼の肉と毛皮、肥料用の骨粉よ」
こうして狼ブラザーズは、みんな残らず赤ずきんファミリーにぶち殺されたのでした。
めでたし、めでたし…………?
赤ずきんカオス 菅野アスカ @52632740
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