第34話 魔法の常識・非常識

お風呂に入って、さっぱり小綺麗になったハクとエンリカを見て、私もお風呂に入りたくなった。


しかし、その間2人をほっておくことも出来ないし、ゆっくりしてもらう部屋もない。


 誰かを招く予定は無かったし、しょうが無いと言えばしょうが無いよね。私のスローライフに誰かを此処に入れる予定は無い。


 詰まりイレギュラー。


 と言っても、今更なので何とかするしかないよね。


 取りあえず、入って直ぐにお客様が来た時用に部屋をサクッと作りましょう! 


 えいやっと。


 あら不思議、何もなかった空間にいつの間にか広い何もないシンプルな部屋が出来たではありませんか。


 お次は、リビングの家具を作成して、その部屋でくつろいでもらうことに。


材料は、洞窟の外にあった大きな木の枝1つ。それをリビングの真ん中にグサッと刺します。続いて、木属性の魔法で一気に机と長椅子の形に成長させます。


「貴女ね、何ていう魔法の使い方をするの」


幼女エルフの♪エンリカさんからクレームついた♪(つい、某やぎさんのお手紙の節で鼻歌を・・・)


でも、もともとこの世界の生命? 生き物? 生物? では無いので、この世界の常識はありません! 魔法がとっても便利で素敵なのは経験から分かってますが、この世界での使い方何て知らないです。


私の魔法は、地球でのもろもろ小説による主人公チート魔法からきてます。


なので、可愛らしく小首を傾げて、きょとんスマイルで誤魔化しちゃいましょう。


 これぞ、秘儀、日本人の笑って誤魔化すスキルです。


 「そんなもので、騙されると思うか? われは280歳だぞ」


 うっ! さすが、280歳!! 秘儀が破られるとは・・・・・・・・・・


「だって、魔法の使い方を知らないんだも~~ん」


「しっ・知らないってことないだろう!! 魔法を使えるということは、誰かから教えてもらったってことだろうが!」



「でも私、習ったことないし、独学だし~♪」


おちゃらけて言ってみた。どうせ真面目に言っても、現実は変わらないから。ちょい、口笛吹いてみたりしてっ。


「なっ、其処から常識外れか」


頭が痛いようで、ひたいに両手を当ててしゃがみこむエンリカであった。ちゃんちゃん


 まあ冗談はココまでにして、この世界の魔法の常識は知っておく必要があるわよね。


 「うーん。冗談抜きで、魔法については独学というか、気がついたらなんとなく出きるようになってたとかなのよ。だいたいこんな風に使いたいというか、魔法の結果を繊細にイメージするだけで使える?って感じ。だから、その、魔法の常識もよく分からないの」


 がばっ!! 


 「何それ!? そんなのありえない!! われの280年という歴史の中での魔法の常識ががらがらと崩壊するわい」


 まあ神様印のチート魔法だしね。これぞ異世界転生定番だよ! 全然不思議でも何でもない。


 「うん。だから、そのエンリカの280年という間での魔法の常識を教えて欲しい。取り敢えず、私がお風呂から戻ってからでいいから、よろしくね」


 にっこり笑ってお願いする。私的には、丁寧にお願いしたつもりなのに・・・・。


 ずるっ


 エンリカが滑って転げたかと思ったら、狐獣人のハクが転けていた。


 「普通、お風呂の後って言う?」


 ???


 「言うでしょう。私の服も新しく作ったんだから、私だって新しい服を着たい。二人だけお風呂入って新しい服着るなんてズルい!」


 なぜか二人とも残念そうな顔で私を見るけど、見なかった振り。おニューの着替えを持ってすたすたとお風呂に向かう。

 

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異世界転移!? それでも、絶対に引きこもってやる~ トチイ 青 @usagiao

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