通り魔志望

 午前0時近くのスーパーマーケットは誰もが疲れている。みんなさっさと帰ったほうがいい。そして寝たほうがい。手にもった大根すらしなびているから、ここに人生はない。


 今日も今日とて労働者は死んだほうがマシだってずっと祈っている。泣きながら自分の心臓をすりおろしている。ごらん、彼らの血が赤い。どうせ誰も信じてくれないだろうけど、僕らは同じ血の色をしているんだぜ。

 生きることが死ぬことなんて実に馬鹿らしい話だから、すりおろすのは大根だけにしておくといい。心臓は自分の胸にしまっておきなよ。


 生きていてごめんなさい。なんてくだらないことを言っている暇があるなら、包丁もって駅前で何人か殺してみるべきだ。僕らは許されている。それが全てだ。車がいたって赤信号を突っ走れ。


 将来の夢は通り魔になること。それでいいから今もった包丁は大根を切るくらいにしておくといい。優しさは自分のために残しておきなよ。

 もし君がどうしても駄目だったときは電話でもしてくれ。駅前で待ち合わせしよう。包丁もって駆けつけるから。

 

 

 

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