みんなの戦争

 他人と違う感覚を抱えて生きる人間が天才なら、自分はかなり天才だと思う。もちろんそんなことに価値はない。どんなに優れた竹槍だろうとAK-47に勝ち目はない。現代戦争じゃそんなもの使えないよって言われても、他に武器はないんだからどうしようもないだろ。竹槍構えて走り出す。馬鹿だと笑って銃殺してくれ。


 小さい頃、学校が爆破されればいいと思っていた。大人になっても戦争が起きればいいとぼんやりと願っている。変われないのはいつになっても酸素が足りないからさ。ガスマスクつけて行進する現代人の群れにとびこんで、ほら、ガスマスクつけて呼吸をしよう。だけどそうやって本当がわからなくなった中で吐いた息はとても嘘くさい。


 ひそやかに戦争は始まっている。いつかガスマスクを捨て素顔のまま突撃する日がくるよ。そのときが竹槍の出番さ。ありったけの力をこめて風穴あけてやろう。


 夜明け前が最も暗い。甘ったるい缶コーヒーを飲みながら僕ら朝焼けを待っている。

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