対話のはじまり


 船内から、きらめく星空と、果てしない”夜空”を見るのは、とても簡単だ。360度、壁面が精巧なプロジェクターとなった展望室があり、その中心には、イスと小さなテーブルが置かれ、限られた船員の憩いの場となっていた。


 連れて来られた男は言った。


「映写機の電源を落としてくれ。居心地が悪い」


 男の言う通りにすると、プロジェクターの壁は、クリーム色一色の地の色となり、代わりに部屋全体が、”昼のように” 明るくなった。


「これでいいのか?」


エイが尋ねると、男は首を振って言い足した。



「その頭の交信機具も、外してくれ。パルはどうせ役に立たないだろうが、念のためだ。あぁでも、翻訳機械は人数分、用意してくれよ。一人だけ仲間外れは困るだろう?」


 男の言葉にエイは頷き、普段の居住スペースから、情報端末を取ってくるよう、ビイに頼んだ。



 そうして3人、互いに意思疎通の図れる状態となったところで、男は床の上から、椅子に座る小さな2人を見上げ、自分の身に起こったことを、話し始めたのだった。



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