そして


 パルの要求に従い、パルの保全点検、修理を行う者たちは、日々、与えられる食料とレクリエーションの質について、もはや疑うことは無かった。ただ一点、減り続ける人員と、増え続けるロボットの動作音に、目をつむっていれば良かったのだ。


 紛争のさなか、守り抜いた遺伝子バンクによって、パルは秘密裏に実験を繰り返していた。もはや、船内に新しい子どもたちを送り出す必要は無かった。人の為に、人を生み出す期間は過ぎ、パルは、本来の目的を実行しようとしていた。



 そもそも何故、150人が限界の船に、200人が乗り込み、出発できたのか。宇宙船アルミナには、たった10基のコールドスリープ装置しか存在しない。それは、本船が50年を超えない、短期間の航行を想定した設計の船でしかないことを、意味していた。


 付け加えると、タイムワープ機能も無い。無理もないだろう。高機能の宇宙船は、すべて戦時に接収されていた。搭乗員は皆それを知っていて、それでも、このアルミナに希望を見出し、救済を求めたのだ。



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