コールドスリープ


 人員が30人を切った頃、人々の間で公平なるくじ引きをし、運命に選ばれた者が、冬眠装置を利用しようという話が、持ち上がった。


だが、三度繰り返されたその催しも、結局、残ったものが、その装置の故障、ないし、破壊を招く行動に出て、失敗に終わった。


 残り約250年。船旅の先は、まだ果てしなく長かった。しかし、船はいったいどれだけ持つのだろう。もう船の整備点検、機能の拡充なんてものは、30人の人間の知ったところではなかった。


 パルに依存し、システムの促すまま、ただ明日のことを思い、生きるのが精いっぱいであった。目的地に、早く着くための手段を講じる知識さえ、もはや、パルによって制限されていたのだ。



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