しっかりと描かれた日常に潜む”あやかし”と異界の物語。

緻密に描写されていく異界や異能、日本の神社というちょっと特殊な世界が鮮烈な世界観を保っていて引き込まれてしまいます。
見て触れて来たかのような、文字通り目の前が変わっていく描写は圧巻です。

日常で触れ得る異界の設定もじっくりと考え込まれており、それに対する専門家の姿勢や信念には、守られて来た伝統のような厳かな重さが伴っていました。

もちろんそれだけではなく、それに巻き込まれてしまった生徒たち。
それを巡る先生という立場。過去の事件。姉という存在。巫女。
話の展開も堅実で、目の前の事件をハラハラと追っていくうちに、すっと差し込まれていた伏線やキーワードが気になっていく。

少しずつズレていったものが一気に噛みあっていく構成は素晴らしくもあり、正直もっと読んでいたくなる作品でした。
神道独特の世界や”あやかし”に興味がある方は是非是非、決して損はしない。満足のゆくものがここにはありました。
おすすめです!!

その他のおすすめレビュー

草詩さんの他のおすすめレビュー164