イタイ

恋蜜柑

イタイ

僕は松岡冬人17歳 高校2年生で、

趣味は豊富で彼女がいる。

そこまでは聞こえが良くて

何処にでもいそうな普通の高校生だ。

ただ、僕の人生では1つだけ違っていた…



家に帰れば父母が待っている。

他とは違った意味で…



今日も学校が終わり家に帰る。

そして、家事全般を済ませて

部屋でくつろいでいた。

すると、部屋に母が入って来て

怒鳴りだした。

「(家事)全部やり直せ!!くつろぐな!!お前が雑やから私がいつも苦労すんねやろ?ほんまにお願いやから苦労かけるんなら死んで!」

といつもの様に言う。

そして、そのいつもの死んで

と言う言葉で胸がギュって

締め付けられてイタくなる。



僕は悪いのだろうか?

他の男子高校生は家事を、

僕以上にやっているのですか?

僕はそんな人に出会った事がない。

ちゃんとやってるのに、

母はいつも死んでと言う。

僕は何か間違った事をしただろうか?

今まで母には反抗をしたことが無い。

なのに、いつの間にか僕は

母の中で邪魔という存在に変わっていた。

そして、父はそれを聞いているのにも関わらず無関心で、家庭には興味を示さない。

どうせ、僕が死んだとしても気が付かないのだろうなと心で言った。



そうした事を毎日繰り返していくなかで、


『全ては僕が悪いんだ。』


と思うようになってきた。


「死んで」と言われる度、


『僕が悪いんだ死のう。』


と思うように…



誰にも相談などできない。


だって家庭のことだから。


みんなには関係ないことだから。


そう彼女だってそうだ。



イタイイタイイタイ…




心臓がイタイ。


僕がいなくなれば母は喜ぶだろうな…



最後に親孝行できるといいな…





そして僕は冬の夜

学校の屋上から飛び降りた…



イタイ。

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イタイ 恋蜜柑 @koimikan2

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