人類探し

新しい体は彼にとって素晴らしく適正的だった。データである記憶も全て受け継いでいる。

そして、人類が作った永久回路を持った元自分の体は、データが無くなりただの展示品となった。


この体には寿命がないし、今までと違い電気のみで生きる訳ではないと教えられる。

どうやら異文明を持つ彼らは、機械のような体だが生きた生物であるという種族らしかった。

彼のオリジナルが朽ち果てていることをデータである状態から知った異文明人の彼らは、M203を完全に復元することを実行したらしいと聞いた。

そうなると精神疾患がまた戻ってくるのでは? と問いかけたが、その疾患というものは我々には起こらないと伝えられる。


ベースを彼らの体と同じように作られた体で、M203はかつての自分の名を名乗るかを迷っていた。

彼は彼であって彼自身ではない。果たして名乗っていいものなのか? そんな悩みを相談された異文明人は、では新しい名を贈ろうと言った。


新しい名は、シェム・アクドゥ・レーキン。異文明人である彼らの言語で、笠山敦と読むのと同じであるらしい。

彼ら異文明人は、シェムに言う。人類を探そう、と。攻撃的な種族でもないと分かった彼は、それもいいねと答えた。


今はどの宇宙にいるのか分からない自分の母星の人類を発見する。

それが、シェムの第二の夢となった。



終り

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世界の終わりに 星野フレム @flemstory

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