異文明との接触
星が終わり、彼は研究所事宇宙に放り出された。星の終わりがどうなるかを予め知っていたことは、彼にとって安堵することだった。
しかし、想定していたことが彼を探し当てた。異星人との接触。それが彼の危惧していたことだった。
異星人は、星であった場所を観測するためにかつての文明を探し、研究所に行きついたのだろうという自分の発想は、見事に的中していた。
あなたは何者だ? と問われた。自分の話せる唯一の言語でそれを聴かれた。随分発達した科学力のある異文明人だなと思った。
彼らには自分が考えていることが何も介せずとも聴こえるらしい。恐らく自分の知っている人類とは、おおよそかけ離れているのだろう。
自分の意識は随分前に回路がショートしたせいで、死んだも同然だったのを復旧したという。そして訊かれた。
この星の住民達はどこへ行ってしまったのだ?
答えるには容易いことだった。彼らは、宇宙へとその文明で旅立った、と。
まだ星の文明が存在することを知った為か、執拗に彼に聴く。そして、ある贈り物を彼に届けると言った。
彼らは、データであるM203に対して、新しい体を用意したのだという。
異文明の彼らの知りえる人類という存在の彼らなりの模造品だとも言っていた。
第二の夢を、彼は持つことを許された。
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