最終話 青い鳥

「そろそろいいかな?」


担当医が入ってきた。


この人にも謝らなくては。


「ごめんなさい。先生は私を救ってくれたうちの一人なのに、酷いことをしました。」


「いいんだよ。そういえば、もう一つ。」


小さな袋が私に差し出された。


「多分。いや、絶対にこれは瑠依くんから君にだよ。」


袋を開けてみると中からは、藍色の鳥のペンダントが出てきた。その鳥の目は瑠璃色。


「これって。」


瑠依は覚えていたんだ。


お互いに自己紹介をした時の


'僕達は青で繋がっている'を。


「藍の中には瑠依くんがいるってことじゃない?」


美波が言った。


「こんなにも素敵なことを…」


泣きそうになった。


だけど、頑張って涙をこらえた。


鳥と一緒に入っていた紙には、


'笑顔'


と書いてあったから。


そうだ。


これからは、瑠依が教えてくれた笑顔でいなきゃ。


そして私は鳥にむかって、瑠依の手紙に書かれていたことと同じことを言った。



『二度目のありがとう』を。

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二度目のありがとう 浅葱ヒカリ @asagihikari

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