不穏な警告
◆
「遠くへは行っていないはず。
クレアたちは
首をしめ上げるのに成功したが、相手の抵抗にあい、振りほどかれそうになる。スプーは決して
たまらず
「捕まえたぞ!」
スプーは捕まえていた相手に『
別の一人は
スプーは
スプーが顔をしかめてため息をついた。クレアがジェネラルと
どこからともなく
その時、背後からゴーレムの足音が聞こえてきた。振り向くと、倒れていた魔導士にゴーレムが歩み寄っていた。ほくそ笑んだスプーがそちらを指さした。
「ほうっておいていいのか?」
「……こんな時にうっとうしい」
クレアの注意がそれたのを見て、スプーは
「こっちに来なさい!」
クレアはほどよい距離をたもちながら、近くの通りへ誘導し、ゴーレムが立ち入れそうにない、せまい路地へ入るタイミングを
しかし、それをなかなか見つけられないでいると、行き止まりにぶつかり、逃げ場を失った。せまって来たゴーレムが目の前で足を止める。クレアの頬を冷や汗がつたった。
その時だった。ゴーレムの向こう側に、上空から何かが舞い下りた。そして、瞬時に敵の体が崩壊し、黒煙が
何が起きたのかわからず、クレアは開いた口がふさがらなかった。ゴーレムの
それはウォルターだった。相手は立て膝のままうなだれ、動く気配を見せない。クレアが残骸たる岩をまたいでかけ寄った。
「ウォルター、大丈夫?」
ウォルターは大きく肩で息をし、手足は
「大丈夫」
しばらくして、ウォルターはかすれた声で答えた。クレアがゴーレムのなれの果てをチラッと振り向く。
「何をどうしたの?」
その問いかけに、ウォルターは何も答えなかった。
「岩の巨人は僕がどうにかする。ゾンビのことは頼んだよ」
今にも気絶しそうな表情で言い残し、ウォルターは大空へ飛び立った。
◇
市街を飛び回って、
先ほどから使えるようになった謎の力――黒煙の威力はケタ違い。張り合いを感じないくらい、いともたやすく岩の巨人を始末できた。
ただ、この力は命をけずるような
使用するたびに襲いかかる痛みは、じわじわと強まった。やがてそれは
今や、気力との戦い。ダイアンとの約束――この街を守るという
まっすぐ歩くことすらままならず、移動には空中飛行を用いた。飛行中のよそ見は危険だし、屋根の上からでは
黒煙は
けれど、力を
中央地区と南地区の敵はあらかた狩りつくした。さらに、東地区で数体をしとめてから、東南地区へ足を向けた。
この地区の住民はレイヴン城へ避難している。なので、
引き返す途中、思い出の地――トーマスベーカリーのそばを通りかかった。気を取られて着地に失敗し、屋根の上をころがって、路地へと落下した。
地面と衝突する直前にブレーキをかけたおかげで、ケガはなかったものの、路上に横たわったまま、なかなか起き上がれない。体が動くことを
数分後、よろめきながら、何とか立ち上がる。フラフラと表通りへ出ると、トーマスベーカリーがすぐそこにあった。はたして、自分はこの街を守れたのか。そう
その
『注意
自分の意思と関係なしに、目の前にメッセージウィンドウがポップアップされた。それは能力の説明書きとよく似ていた。
『
まもなく、
『エラー
今度はブオンとブザー音が鳴りひびく。ことさらに不安をあおるような効果音だ。内容も意味がわからない。表示の移り変わりを、うすら寒い思いで見守った。
『許可を求めています。
はい/いいえ』
ようやく意味がわかるメッセージが現れた。
『5秒……4秒……3秒……2秒……1秒……0秒』
数字の減少を目で追い、息をのんでその時を待った。
『拒否されました』
再度ブザー音が鳴った。あらゆる表示の主語が明確でない。誰に向けたメッセージなのかもはっきりしない。
その後、新たな表示は現れなかった。しばらく
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