頂上決戦(後)
◆
戦闘開始から十分近く経過してもなお、目まぐるしい攻防が続いていたが、
第一に、
一方の辺境伯はエーテルの豊富な場所への移動が自由自在。さらに、背後ならまだしも、左右に回られると防御範囲が
また、『防壁』は向かい側の視界はきくが、周辺をクルクルと移動すると、光の
移動に制限があり、自陣が
戦法を
ジェネラルがたった一つ見つけた
しかし、辺境伯は肩で息をしていたが、まだ
(戦いを楽しんでいるのは向こうも同じか)
そう思いながらも、
魔法の技術のみに関すれば、二人の実力は
そこで、やむなく決断した。リスク承知で『吹雪』をストップし、大打撃による一発逆転をねらい、『
しかし、『
しまいにはそれがあだとなり、相手の『
負傷してからは
そして、
このまま
細い『氷柱』ではさみ撃ちにしながら、『防壁』の左右に回られないように
(何かたくらんでいるな)
辺境伯は接近戦を誘っていることに気づくも、あえてそれに乗った。ジェネラルに向かって一直線に突き進み、裏をかくように五メートル手前で方向転換した。
ジェネラルの最後の賭け――『防壁』を突きやぶった『氷柱』が猛スピードで辺境伯に襲いかかる。
辺境伯は
かん高い金属音が辺りにひびく。しかし、衝突したのは
それを
辺境伯の接近に気づき、最後の力を振りしぼったが、足がもつれて前のめりに倒れかけ、偶然にも、相手に抱き止められるかたちになった。
うす目を開けたジェネラルは
辺境伯は相手の胸ぐらをつかんで、軽々と体を持ち上げた。そして、勝ち
「負けるわけがないんだ。ゆりかごでまどろんでいただけのお前には」
ジェネラルの
「辺境伯、やめてください!」
中央広場に大声がひびき渡った。顔をそちらへ向けると、辺境伯はなつかしさで
声の
「俺にかまうな! 俺ごと攻撃しろ!」
ジェネラルの最後の抵抗だった。しかし、ヒューゴは攻撃にふみ切れなかった。
ジェネラルを巻き込むことだけではない。同じ〈
正気に戻ってほしい。無実を信じ続けた
けれど、辺境伯は意にかいさない。意味深な笑みをうかべた瞬間、ジェネラルと共に
「こいつは借りて行くぞ」
すぐ後ろで、忘れもしないなつかしい声がした。しかし、振り返った時には辺境伯の姿はどこにもなかった。
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