頂上決戦(前)
◆
ジェネラルが
「久しぶりだな、ジェネラル」
ジェネラルにとってはなつかしい顔だった。男とは約五年ぶりの再会。別れも告げずに姿を消した男と、つい肩を抱き合いたい気持ちにかられたが、すぐに思いとどまった。
「生きているという話は本当だったんだな。今の今までどこにいた」
「わかっているんだろ? 〈外の世界〉に行っていたんだよ」
顔立ちは昔と変わらない。しかし、
服装も
「ここへ何しに来た。目的は何だ」
「お前の持っている『
「何だと……!?」
ジェネラルは怒りよりも失望を感じた。敬意をいだいていた相手だけに、それはなおさら大きかった。
共に技術を
「素直に渡すとでも思ったか。あれだけの悪事を働いたあげくに、〈侵入者〉の手先になり果てたか」
ジェネラルは否定の言葉を期待した。しかし、
「落ちるところまで落ちたな、マーグ……、いや、
ジェネラルが感情をあらわに、吐き捨てるように言った。
「ジェネラル、危ない!」
ふいに遠くから声が上がった。
辺境伯の出現に気づいたのは、ジェネラルとそばにいた魔導士のみ。おとり役の魔導士は、これまで通りゴーレムを市街へ引き入れた後、建物の間へ逃げ込んだ。
ターゲットを失ったゴーレムが、それを最も近くにいた辺境伯へ切りかえた。ゴーレムに敵味方の
ジェネラルは後方へ飛んで距離をとったが、辺境伯は不愉快そうに振り向いただけ。ゴーレムが右腕を振りかぶった瞬間、辺境伯の体がフワリと
辺境伯が使用した能力は〈
マントをひるがえしながら、ゆるやかにバク転をした辺境伯が、ゴーレムの背後をとって、すかさず右手をかまえる。すると、手元で瞬時に
そして、針の穴を通すような
これまで『電撃』をものともしなかったゴーレムが、
「ジャマをするな!」
再度〈
辺境伯が着用する鉄製の小手とすね当ては、防御用ではない。〈
本来、仲間であるはずのゴーレムに対する
「今のは〈
ゴーレムの上に舞い下りた辺境伯が、それをふみつけたまま言った。この場に現れた時点で覚悟していたが、敵の能力者が辺境伯であることを、受け入れざるを得なくなった。
「お前――昔、俺と戦いたがっていたよな? 他の連中に
「安く見られたものだな。いいだろう。受けて立とうじゃないか」
プライドが傷つかなかったと言えば嘘になるが、ジェネラル本人としては願ってもない話。魔導士としての
「あそこなんかどうだ?」
辺境伯が指さしたのは、中央通りの果てに見える中央広場だった。
「無理をしなくていい。すぐに戻ってくる」
ジェネラルはそばの魔導士に言い残し、辺境伯の
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