無決断人生

 つらい。苦しい。もういなくなってしまいたい。そんな歌詞が耳に入る。

いつからこんな動画を見るようになったのだろう。どこまで記憶を辿っても思い出すことはないけど、たぶん、僕の意識の変化だろう。最近まで僕はそんな「暗い」「寒い」世界から目を逸らしてきたのだ。有名人の言っていた台詞の一つ一つが頭を過って、自分の惨めさを痛感させられるような。

 僕自身、当たり前のことが不信に思えてならなくなった。人は結婚して、子どもを産んで、家族で和気藹々と人生を過ごす。そして子どもは育てられるにあたって「人生は自分で決めるものだ」と教えられる。そう。このことだ。

人生のすべてを自分で決めてきた以上は、どんな結果になっても後悔してはならない。だけど、人には一つだけ自分では決められないことがあると思う。

この世に生まれるかどうかは、誰が決めるのだろうか。それはいずれ子どもを産むであろう夫婦である。生まれてきた子が成長してからいじめなどに遭ったとき、その子に夫婦はどんな言葉をかけるのだろう。慰める?励ます?そんなの間違ってる。その子は夫婦の「子どもを産みたい」「育てたい」という欲に付き合わされたようなものだ。成人式で両親に言う言葉は「いままで育ててくれてありがとう」なんかじゃない。育てたかった両親を手伝っただけなのだから。この世に生きるかどうかは本人が決めたことじゃない。「もっとたくましく生きろ」「つらいかもしれないけれど頑張って」なんて大人の独りよがりな行動に過ぎない。生まれてきた子どもが人生に苦しんだとき、いなくなってしまいたいと言ったとき、親が反対する権利なんて、本当はないのかもしれない。

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Loupe Rule @baketsu

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