大正のレトロな雰囲気が華麗な、コメディ要素の強い探偵小説です。
犬飼探偵事務所の犬飼探偵は、常に鈍色のガスマスクを着け、外見からしてかなり怪しげ。
おまけに致命的に空気が読めず、誰かとの会話はかなり有能な助手の少女に任せきり。
そうでなければ、依頼人が帰ってしまうような発言ばかりしてしまうから。
しかも並はずれた能力を持つのに依頼は必ず失敗と、
これだけ見ると『ヘボ探偵』と揶揄されるのもおかしくない、と思えてしまいます。
しかし読み進めていくうちに、それが違うと分かってきます。
一話終盤、堂々とした彼の信念はあまりにも鮮烈で、犬飼探偵は確かに『探偵』でした。
有能な助手が、ああも彼を探偵として慕っているのにも大変納得がいきました。
一話完結までさっくり読めるのがありがたいです。
まだまだ物語も続くみたいで、これから二人はどのような事件と出逢うのか、
そして失敗するのかと思うと目が離せません。
続きが非常に楽しみです。