第32章 夢の続き
第395話 冬が過ぎていく
魔技大の転入試験も無事合格したし、発表も一応無事に終わった。
まあ発表した増幅機構の倍率等の関係で、発表内容や論文資料全般にわたり特定特区以外閲覧禁止措置になってしまったが、それもまあ予定の範囲内だ。
あとは優雅な冬休みと春休みを待つだけの期間……という訳にも行かないのが高専の悲しい処だ。
しっかり授業は残っているし下手に落第したら大学合格もろともさようなら……
だから授業は真面目に受けて予習復習もしっかりやる必要がある。
まあそれでも今までに比べれば楽勝モードではあるのだが。
学生会の会長副会長は例年通り無投票推薦のみで決まった。
ルイス君が会長をやらされるそうだ。
まあ彼が一番人望もあるしまともだしルックスも悪くないので正解だろう。
副会長がソフィーで、監査が詩織ちゃん。会計が理奈ちゃんで書記が愛希ちゃんだそうだ。
クリスマス会は豪勢にやったがそろそろ人数が限界だ。
学生会現役組と卒業組に分けるとか、来年は考えようという話になった。
今年はまあ、おまけの世田谷含めて合計17人でやったけれど。
参考までに俺のプレゼントは『オークションで買ったジャンク扱い不動品のオメガ・シーマスター腕時計を新品同様に修理したもの』だ。
無論プログレスを簡略小型化した魔力増幅機構等、魔法杖としての機能もしっかり入れている。
この腕時計、沙知ちゃんの元に行ったのだが怪しい事に使われないか大変不安だ。
沙知ちゃんのレーダー系魔法はジェニーのと違い、誘導とか幻覚とか色々危険な機能がついているそうだから。
そして俺が受け取ったのは詩織ちゃん作の試作品という収納ボックス。
「ちょっとだけ空間捻じ曲げてあるので容量は見かけ以上に入るのですよ」
という代物で、見かけと形はベッド下に置ける単なる木製収納ボックスだが、収納力は外見の1.7倍というとんでもない逸品である。
「これ発展させたら四次元ポケットが本当に作れるんじゃないか」
「空間的制約で1.7倍、厳密にはルート3倍が限界なのですよ。パテント取ったけれど私のユニーク魔法なので量産も辛いのですよ」
との事である。
なお今現在では増量して同じ収納ボックスが俺のベッド下に3個設置されている。
中身は全部、詩織ちゃん関係の玩具や機械類や材料等だ。
俺へのプレゼントの筈だったのだが、何故こうなった。
冬休みも実家往復と現役学生会による新年恒例釣り大会と例年通り。食べすぎてトド化する人間が出るのまでお約束という処。
なおルイス引退後の魚捌き役は既に美雨ちゃんに内定しているそうだ。
「脊椎動物の内部構造はそう変わったものではないので問題ありません」
との事だがいいのか補助魔法科魔法医療専攻希望としてその発言。
魚以外を捌かないでくれよ、免許無しで。
バレンタインデーという名のザッハトルテと当たり付きチョコを食べる日。
今年は沙知ちゃんが犠牲になったらしいのだが劇的な反応は何も無かった。
沙知ちゃん本人が言う処では、
「口中の感覚に対して遮断魔法をかければいただけますよ。全部遮断すると食べにくいので9割程度遮断で。少しばかり味が落ちてしまいますけれど。あとはカプサイシンを魔法で分解していくだけです」
との事である。
当たった事のある俺としては何か悔しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます