第392話 一応注意はしておこう
「詩織、今回はやり過ぎ」
「だって晴れていて景色のいい場所、今日だとあそこが一番近かったのです」
学生会室へ戻るグレムリンズと同行中である。
ちょっと色々釘をさしておきたいなと思ってだ。
「参考までに修先輩、さっきのが何処かわかっています?」
理奈ちゃんの質問。
「ハワイのホノルル近郊」
「正解です。やっぱりわかりますか」
「夜景があれだけ鮮やかな時間を考えれば想像できるだろ。気温もここより暖かかったしな」
「更に正確に言うとダイヤモンドヘッド山頂の展望台なのです。夜間立入禁止なのでちょうどいいのです」
「無断新入で捕まったらどうするんだ」
「なので沙知を連れてきたのです。レーダー完備で問題ないのです。ついでなので司会進行もお願いしたのです」
要はグレムリンズ全員が計画犯にして故意犯であると。
「あと何故に上野毛がいるんだ」
しっかり上野毛もグレムリンズに紛れている。
なまじ小柄で女装が似合うだけに区別がつかない。
「いやマジックショーをすれば甘い物食べ放題と詩織っちに聞いてさ。まさか行き先が長津田の研究室だとは思わなかった。まあおかげで色々食べられたし悪くは無かったかな」
上野毛はお土産のケーキ類が入った箱を片手に持っている。
他の面々もそれぞれの戦利品を手にしている。
「本当はオスカーちゃんにサファイアとルビーを作ってもらう予定だったのです。リビングデッド先輩がいたのでダイヤに予定変更したのです」
「玉川師匠がいたから詩織ちゃんに教えといたんだよ。師匠ならダイヤモンドを作れるって」
上野毛が詩織ちゃんとツーカーで共犯なのもよくわかった。
「詩織っちとはリアルロボット大戦で色々協力しているしね」
「今年の企画用の敵メカを一緒に量産したのです。また一儲け出来たのです」
ついでに上野毛と詩織ちゃんのつながりもよくわかった。
確かに上野毛は技術屋としては魔技高専トップクラスだし、色々勉強になることもあるだろう。
「何れにせよ、今後はあまり今回みたいな派手な事は禁止な。また妙な組織や国に狙われたらたまったもんじゃない」
「長津田はそう言うけどさ、詩織っちの魔法の威力の半分はお前の処の研究室が作った異常性能の魔力増幅機構の賜物だろ」
「わかっている。それを含めてだ」
上野毛の言っている事も事実だ。
「まあ長津田の言っている事もわかるし正しいけどな。詩織っちも次からは移動範囲はこの島限定にしとこうな」
「一応了解なのです」
この辺のバランスをわかってくれる辺りは、見かけはグレムリンズでもやはり上野毛だ。
「じゃあ俺は研究室に戻る。あとは宜しくな」
「戻るのか」
「一応さっきの連中にも口止めをしておくからさ」
「相変わらず苦労性だな。ハゲるぞ」
「禿げたら頭皮だけを培養再生するよ。じゃあな」
という事で大学との境の渡り廊下で別れる。
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