第31章 お役目のない学園祭
第380話 論文・資料作成中
学生会が学園祭の書類に埋まる頃、俺も研究室で黙々と文章作成に勤しんでいた。
俺だけではなく、等々力、高井戸、恩田も机を並べてうめきながら文章を書いている。
ちなみにこの部屋内で一番有能さを見せつけているのは世田谷だ。
自分の書く部分こそ少ないが、杖の性能比較のための実験、俺達が書いたものの英訳、ラフ絵を清書して説明用のイラストにする等の作業を一手に引き受けてくれている。
家庭事情のせいか英語ペラペラ。
お絵かきもペンタブ使って軽々上手にこなす。
攻撃魔法科筆頭だけあって、同じ威力で同じ魔法を連射したりという疲れる比較実験も余裕かつ楽々と可能。
世田谷がいなければきっと論文や資料作成に数倍の時間がかかったろう。
この面では感謝してもしきれない。
さて、研究室にも新しい学生が入ってきた。
魔技大の3年生である。
魔技大は3年後期で研究室配属が決まるので、入ってくるのはこの時期になる。
入ってくる時期は遅くても実際には俺達より1年上の学年な訳で、当然うちの高専から編入した学生も入ってくる可能性がある訳だ。
そしてやはりと言うか、俺と恩田にとっては無茶苦茶馴染みのある先輩がその中にいた。
通称『器用貧乏』、魔道具の設計から甘味作成までそつなくこなすが何故か常に報われない悲しき男、創造制作研究会OBの玉川数人先輩である。
「ハローエビバディ。また会えるとは嬉しいぜ」
という言葉の割に今日も疲れている。
もっとも俺は疲れていない玉川先輩を今まで見た事が無いのだが。
「今回は何故そんなに疲れているんですか」
「一般教養の第1希望にも第2希望にもくじ引きではねられた。なのでさっき教務に聞いてまだ空いている処を求めて探し回った。第6希望でやっとコマを埋められた。もう疲れた。死む……」
相変わらず天性の報われなさを発揮しているらしい。
まあ取り敢えず健在なようで何より……かなあ。
他に入ってきた3年生は男1人女3人。
こちらは高専からではなく普通に大学1年から組だ。
ぱっと見では魔法使いでは無さそうな感じ。
まあ魔法工学自体は魔法を使えなくても研究できる。
それに魔技大に来るからには魔法に理解あるだろうし優秀でもあるのだろう。
今は同じ研究室というだけで一緒に取り組む事等は特に無い。
でもまあ来年魔技大に入ったら世話になる可能性は高いかな。
なのでまあ、お互い上手くはやっていこうと思う。
実際はあまり接点が無いのだけれど。
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