第377話 世田谷の追及(2)
「さて、2人に絞ったところで話を変えるわよ。
風遊美先輩の前では言いにくい話題になるけどね」
「私は構わないです。それに今のような状態の修さんを見るのは初めてで面白いですね」
風遊美さん、そんな殺生な。
「では風遊美先輩のお許しが出たところで。
さっきは風遊美先輩をあっさりリストから外したけれど、それでも長津田が一番恋愛感情に近い感覚を持っていたのって風遊美先輩だと私は思っている。今でも少しそんな感じが残っているからね。
さっき振った振られたとカマかけたけれど、きっと本当はちょっと違う形で別れたんだと思う。きっと”これは恋愛感情じゃ無いですよね”とお互い儀式として確認しあったんじゃないかな。どんな形でかはわからないけれど。
これは私の推定だけどきっと間違っていないと思う。異義があっても聞かないけれどね」
俺もあえて異義は唱えない。
風遊美さんも黙って、微笑みながら聞いている。
「だから何かあると、長津田って必ず風遊美さんにも連絡するし相談するよね。
さっきの推定は別として、風遊美さんに連絡したり相談したりするのが多いのは認めるよね」
俺は頷く。
確かにそれは事実だから。
誰かに相談するとなると、最初に思い浮かぶのはやっぱり風遊美さんだ。
むろん立場とか学年とか色々理由はあるのだけれど、事実としてはやはりそうだ。
「さあここで無茶な設定をしますので長津田は真面目に考えて下さい。
長津田は1人で露天風呂に入っているとします。その露天風呂はあまり大きくなく、2人で入ると思い切り肩がくっつく感じになる大きさです。
そこへこの旅行のメンバーの女子の誰かが通りかかり、その露天風呂に入ろうとしました。修君は色々思ったでしょうが、露天風呂から逃げませんでした。
これにあてはまる女子は3人います。風遊美さんと詩織ちゃんと、後は誰でしょう」
何か凄いシチュエーションの問題だ。
考えるのも何か問題があるような気がする。
というか想像したら色々まずいだろ、それ。
でも世田谷は全然そんな事を気にせずまた口を開く。
「例えば私だったら長津田は逃げると思うんだ。
でも風遊美さんだったら何か話があるのかな、って取り敢えず逃げないと思う。
詩織ちゃんでも立場は違うけどまあ何か理由があるんだろうなと思って逃げないんじゃないかな。
ここまでは異義はない?」
不承不承俺は頷く。
確かにその2人なら逃げないな。
詩織ちゃんの頭を叩くかもしれないけれど。
「そして私の予想なら、もう一人逃げない人がいると思う。そしてその人の場合はきっと長津田は理由すら聞かないと思う。
私はあえて名前は言わないけれどね。今の長津田ならきっとわかると思うから」
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