第375話 この組み合わせは必然か?
あの夜。
話が腐り始めてから後の事は思い出したくもない。
身の毛もよだつおぞましい話の後に小樽の貸別荘に戻ったのだが、そこでも俺は地獄を見た。
待っていたのは女子大生&女子高専生の集団生着替え。
無論とっさに着替えを持って隣の貸別荘に逃げたのだが、そこで百物語開催中の由香里姉ら残留組と遭遇。
さらに逃げた結果貸別荘の外でこそこそと着替える羽目になった。
思い切り公道に面していたのだが、背に腹はかえられない。
まあ通行人がいなかったようなのが幸いだ。
濡れたタオルや浴衣を洗濯機で洗って貸別荘内にロープを張って干して、翌朝乾いたのを回収して詩織便で聟島に送り返してから出発。
札幌駅すぐのホテルで荷物を預けた後、雪印パーラーで超巨大ジャンボパフェを皆で食べるまでがお約束だ。
何せ並外れた胃袋を持つ鉄人級の魔法使いが何人もいる。
中にコーンごと埋まったアイスを発見したり楽しみながらあっさりと1万円強する巨大パフェを平らげてしまった。
後は自由行動で、俺は1人抜け出して北大内の食堂で牛とろ丼と単品チキンチーズカツなんて変な組み合わせて食べた。
魚とか甘味ばかりで、久々にこういった物を食べたい気分だったのだ。
ついでにキャンバス内をのんびり歩いてホテルに戻る。
実は昨日の秘湯探検で必要以上に疲れた気もするのであまり動きたい気分でも無かったし。
ならわざわざ北大まで行くのは自分でも変だと思うのだが、貧乏性なので何かしら観光せずにはいられなかったのだ。
実は俺も北海道は初めてだしな。
どうせ時計台を見てがっかりするなら北大に行ってやれと思っただけだ。
さて、3時半頃に宿のホテルに戻ると、皆疲れているのか既にチェックインしていた。
なので香緒里ちゃんにSNSで連絡して部屋を尋ねる。
俺の部屋はトリプルルームで、風遊美さんと世田谷が同室だそうだ。
本当は俺とルイスとロビーの男3人が同じ部屋の予定だったらしい。
でも勝手に色々な組が部屋を占拠した結果、こういう事になったとの事だ。
部屋割りを見ると大体想像がつく。
大ボス組の由香里姉、鈴懸台先輩、月見野先輩が同じ部屋のは想定内だ。
北米組がロビーを取ってジェニー、ソフィー、ロビーと固まってしまったのが多分悪かったんだろう。
残った中で攻撃魔法科のルイス、愛希、理奈、エイダが自然に組んだ。
更に残ったメンバーで1年生の1年の沙知、美雨と同じ部屋に現学生会役員の香緒里ちゃんと詩織ちゃんが入った。
結果、俺と同じ部屋は風遊美さんと世田谷というよくわからない組み合わせになった訳だ。
まあ世田谷は学生会の面子でないから妹と俺以外とはあまり馴染みがない。
風遊美さんも今の1年生から見たら既に卒業した人間だ。
俺も既に学生会はリタイヤしている。
だからこの3人が一緒なのは結果的には必然なのかもしれない。
さて。
部屋をノックして声をかけるとすぐにドアが開く。
世田谷が開けてくれたようだ。
実態不明な魔法で。
「悪い、遅くなった」
「と言っても皆が早いだけだけどね。昨日の夜は遊びすぎたわ」
世田谷は昨日は百物語組だった。
黒魔術で効果音だの動く影だの色々演出をかけ、結果洒落にならない程に話を怖くして、1人でトイレに行けない人を量産したらしい。
きっと本物の闇属性の魔女に怪談をさせる方が間違っていたのだろう。
まあ膀胱に支障をきたした人はいなかったようだけれども。
「そうですね。私の方も昨日夜は温泉2つはしごしましたし」
「それで今日はもう予定は無いよね。長津田、どうするの」
「腹が減ったら食べに行く位かな。でもどうせ駅かどこかで何か食べているだろ。一息入れてからでいいんじゃないか」
「そうですね」
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