第352話 まあ美味しいからしょうがない
「お昼御飯はカンパチとキハダマグロ、スマのお刺身です。バラハタとロウニンアジは晩御飯で出します。だからちゃんとお腹の中に余裕を持っておいて下さいね。では、いただきます」
香緒里ちゃんの宣言で昼食がスタートする。
刺身と味噌汁と御飯だけという、それだけ書くと質素な昼食だが刺身が豪華すぎる。
大皿5枚にそれぞれしっかり量が盛られていて、きっとこれを買うと……
よそう、値段換算すると虚しくなる。
場馴れした連中は恐ろしい速度で狙った獲物を取って自分の皿へと運ぶ。
最初はその勢いに怯んでいた世田谷姉妹も、直に状況を察してその戦いに加わった。
さすが攻撃魔法科。
俺は例によってのんびりペースでゆっくりと食べる。
この競争にはついて行けない。
それに選ばなければ刺身が完全に無くなる前にある程度食べられる。
今までの経験からそれもわかっているし。
ちなみに今の人数は13人。
これに由香里姉達が戻ってくれば17人か。
多いよなやっぱり。
買い出しても買い出しても食料の減りが早いのはもうしょうが無いよな。
そして皿の刺身が少なくなるとルイスがキッチンへ行っては切って追加してを繰り返し、気づくと3升炊きの炊飯器の底が見え始めている。
「夜の方が豪華なんだから食いすぎるなよ」
とルイスの注意も既に遅かった模様だ。
まあ奈津希さん食事当番時のように無限御飯おかわり可能な環境ではないから被害はそれほどでも無いだろうけれど。
結局余分に炊いた筈の御飯も全て無くなり、皿の刺身も何度も追加したにもかかわらずなくなったあたりで食事終了となった。
「それでは片付け後、午後2時半までが露天風呂が女子専用です。男性は内風呂の方でお願いします」
という事で飯後の休憩タイムに入る。
なお世田谷は片付け後真っ先に風呂の方へ飛んでいった。
よっぽど露天風呂が気になっていたらしい。
俺は3升の米を研いでまた炊飯器にセットする。
御飯を炊いておいて、炊いた御飯をラップの上に広げて乗せておけば、誰か氷系魔法持ちが急速冷凍してくれる。
それを火炎魔法持ちの鈴懸台先輩なり愛希ちゃんなりに解凍して貰えば御飯が足りなくなっても大丈夫。
奈津季さんがいない分はこんな感じで小技と魔法を駆使している訳だ。
でも誰か、火炎魔法と風魔法両方を使ってあの3分間炊飯をマスターしてくれると助かるんだけどな。
ルイスは風魔法の他に火炎魔法も使えるようになったが、やはり奈津希さんの真似はそう簡単には出来ないそうだ。
やっぱり奈津希さんの魔法は色々な意味で特異だったんだな、と何かしみじみ感じる。
今はフランスのノルマンディー地方だけれど元気だろうか。
まあ詩織ちゃんが時々会いに行っているらしいし、何も詩織ちゃんから聞かないから元気なんだろうな、きっと。
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