第349話 新人1人御来訪

 という訳で色々待ちながら4人でのんびりとお茶をする。


「ところでさっき気になったんだけれども、お風呂に入っている筈の2人が何故そこの部屋から出てきた訳?」

「見ればわかるですよ」


 詩織ちゃんがあっさりとそう言って立ち上がる。

 どれどれとついて行く世田谷さん。

 まあ世田谷なら問題ないだろうなと俺も黙って見送る。


「なにこれー」

 声が聞こえる。


 すぐに帰ってこないところをみると、色々中を確認しているらしい。

 そして5分位した後。


「何なのよあれ」

 戻ってきた。


「何なのよと言われても、見た通りですが」

 俺にはそうとしか答えられない。

 というか答えたくない。


「よし、急いで妹に私の着替えも持ってくるよう連絡する」

 入る気満々かい!


「その心配は無いのです。タオルと浴衣と羽織も完備しているのです」

 詩織ちゃんがにやっと笑って告げる。

 洗い替え用も含めて浴衣等は購入しているので、数人程度分は余裕がある。

 世田谷さんはふっとため息をついた。


「何かもう、完全に温泉旅館ね。卓球台とかカラオケ装置らしいのもその路線よね」

「後はソファー型マッサージ機を作れば完璧なのですよ。何なら本土から取り寄せてもいいのです」

「何かあさっての方向に豪華よね、ここ」


 そんな話をしているとインタホンが鳴った。

 どうやら世田谷さんの妹が到着したらしい。


「世田谷さんが出た方が安心するだろ。ボタン操作は俺がするから」

 という事で2人でインタホンの処へ。


「あ、エイダ。入口が開いたら右のエレベーターで10階行って。10階でエレベータを降りたら見える場所にいるから」

 俺はインタホンを操作して入口扉を開ける。


「じゃあ出て待っているわ」

との事なのでお願いして、一応俺も玄関のところで待機。


 すぐにエレベーターが動き始め、そして到着してドアが開く。

 どちらかと言うと小柄な世田谷より頭半分背が高いスラッとした感じの女の子が出てきた。


「ありがとう」

 俺が抑えていた玄関の扉を世田谷が引き継ぐ。

 なので俺は再び座卓方面へ。


 その間にキッチンで香緒里ちゃんが新しいお茶を入れている。

 詩織ちゃんはいつの間にか姿が見えなくなっていた。

 取り敢えず詩織ちゃんがいないけど、4人で挨拶。


「初めまして。世田谷・バートン・エイダと言います。美南の義理の妹で、攻撃魔法科1年です」

との事だ。


 ジェニーや香緒里ちゃんより背が高く俺よりは背が低い。

 目鼻立ちのはっきりした顔と浅黒い肌。

 ウェーブかかりまくりの長い髪。

 見た感じでは黒人系とアジア系のハーフかな。


 そう思ったあたりで詩織ちゃんが帰ってきた。

 手に紙袋を下げている。

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