第348話 新人1人追加願
という訳で結局4人で座卓を囲んでお茶会になる。
まずは本題、の前に。
「実は学生会にお願いがあって来たんだけれども、まだ学生会って新人募集している?」
「5年生は募集していないと思うけどな」
「私じゃないわよ」
わかっている。
ついつい茶々を入れたくなっただけだ。
「入りたいというのは1年生よ。私の妹」
「あと1人位は全然問題無いです」
「予約とかそっちは」
「旅館等も団体扱ですし、5月末までなら全然」
「うーむ、黒魔女の妹ですか。強そうなのです」
ここの2人は歓迎方向のようだ。
まあ基本的にうちの学生会、希望者少ないので断った事は無いのだけどさ。
「何ならあと1時間位で学生会の残りが戻ってくるので、何ならこちらにお呼びしたらどうですか」
「うん、そうする。有難う、急にこんな話したのに」
「それにしても何故今頃学生会に?」
一応俺は聞いてみる。
世田谷の事はある程度知っているが妹とは会った事も無いので。
「今はうちの研究会にいるんだけど、どうもあっていないようでね。うちの研究会って割と横のつながり薄いし日本人ばかりじゃない。なんでどうも上手く馴染めないように見えてね。本人にも聞いてみたけれどやっぱりそんな感じらしいし。
学生会なら留学生もいるし攻撃魔法を鍛えるのにも問題ないしね」
うちを攻撃魔法を鍛える研究会と間違っていないだろうか。
まあそういう連中もいるんだけどさ。
ん、待てよ。
「世田谷って帰国子女だっけ?」
今の話だと妹は日本人じゃない感じだよな。
世田谷は肩をすくめる。
「義理の妹よ。親父の再婚相手の連れ子。まあ私と同じ攻撃型の魔法使いだけどね」
そう言ってバックからスマホを出して何か打ち始める。
「じゃあ妹呼ぶね。そこの団地だし、身支度含めて20分もかからないと思うわ」
そう言えば世田谷の住所は寮じゃなくて団地になっていたな、と俺は思う。
それも確か賃貸ではなく分譲の区画。
「団地という事は家族も一緒にこの島にいる訳か?」
「父と母は奈良の橿原よ。術式学園隣接の魔法研究団地にいるわ。ここは一応父が勤務で使うかもしれないと言って買ったけれど、住んでいるのは私と妹だけ。まあ去年までは私だけだったけどね」
「何なら世田谷さんも一緒にお昼御飯はいかがですか」
香緒里ちゃんが世田谷さんをお昼に誘う。
「えっ、でも悪いんじゃ……」
「2人分位増えても問題ないしな、ここじゃ。あの炊飯器を見れば想像つかないか」
奈津季さんがいなくなって急遽買った最新の炊飯器を俺は指差す。
「何、あのでっかいの……」
世田谷さんの言葉がそこで途切れた。
「一応IH方式の最新型だけどな。業務用で3升炊ける。あれでも使わないと間に合わない事態が結構あってな。多分今日の夜もそうなるかと」
「念の為昼の時点で最大で炊いておいて残りを冷凍しておく予定です。そうしないと多分今日の夜は間に合わないと思います」
「……そう言えたまに学生会で魚祭りやってるわね。あれが日常という訳か……」
3年の6月ころに巨大ひものを食べる会をやって以来、天候が良かったり暇だったりすると時折突発的に似たような会を学生会で開催している。
要は釣りすぎた魚の後始末の会なのだが、そこそこ学内でも好評だ。
定期的にとはいかないが、年2~3回位の感じで開催しているので、当然世田谷さんも知っていたらしい。
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