第330話 ストーン・ハント
一軒目の店で詩織ちゃんが俺に囁く。
「軽く魔力を均一に放出した後止めるです。審査魔法で確認すれば有望な石を探すのが少しは楽になると思うのです」
「助かる」
俺の魔力ではそう何回も均一一斉放出なんて技は出来ない。
なので詩織ちゃんのこの申し出は大変に助かる。
詩織ちゃんの魔力をある程度以上貯められた石を魔法でスキャンする。
思ったよりも少ない。
「やっぱり大半は予想通り水晶系だな」
「蛍石系も反応しているですがこれは私の魔法の個性だと思うのです」
俺の魔力を使って調べてみる。
「確かに俺の魔力じゃ蛍石系統だとあまり蓄積しないな。ここは素直に上位3点だけ押さえておくか」
秋田産の7センチ位の水晶1個、山梨県産の8センチ位の水晶1個、そしてアメリカのアーカンソー産の同じくらいの水晶1個を購入する。
「では次行くぞ」
「次は何処ですか」
俺はスマホのメモを見る。
「うーん、次は自由が丘かな」
「貸すのです」
スマホを詩織ちゃんに取り上げられた。
「場所に関係なく、何処が在庫が多そうか順位をつけて欲しいのです」
そう言ってスマホを返される。
「何で」
「私の得意魔法は何だか忘れたのですか」
あ、そう言えば……フランスまで往復可能な移動魔法所持者だったな。
あまりに非現実的な魔法なのでどうも意識しにくいが。
「なら待っていろよ」
俺はメモに数値を入れていく。
「こんな物かな」
詩織ちゃんがスマホを確認する。
「了解なのです。では1番付近の人通りのない場所に行くのです」
そうして石探しの旅が始まった。
練馬区、世田谷区、豊島区等々と鉱物標本の店を巡り、俺は予備も含めて12個の鉱石を購入した。
産地は別々だがどれも7センチ前後の無色の水晶だ。
その間に詩織ちゃんは薄いピンクの蛍石を2個、7センチの紫水晶を2個、紅水晶を1個、トパーズ1個、アクアマリン1個を購入している。
総購入金額は詩織ちゃんのほうが遥かに大きい。
「詩織ちゃんの石は何に使うんだい」
「秘密です、と言いたいところですが今回は教えてあげるのです」
詩織ちゃんは俺に紫水晶の色の薄い方を渡してくれる。
「自分で魔力を込めて確認してみるのです」
お、これはひょっとして。
「俺専用とした場合に杖に相応しいい石か」
「正解なのです」
「とすると、他の石も」
「本人確認してはいないけれど、適合する可能性の高い石なのです」
成程な、でも。
「そんなに杖を量産するつもりは無いぞ」
「いざという時の為の保険なのです。使わないにこした事は無いのですが、備えはあるに越したことは無いのです」
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