第328話 皆何かに飢えていた

 怒られた。


 いやもう小1時間ネチネチと怒られた。

 ハムとチーズをつまみに俺達含む13人全員集合し車座になって怒られた。


 むろん夜だし寺だし声は出せない。

 ただ今の香緒里ちゃんは手を繋がなくとも相互伝達魔法を使う事が出来る。


 なので暗い部屋の中全員沈黙状態で時折チーズとハムをつまみながら査問会が進行。

 主に指導役は由香里姉と風遊美さんが担当したけれど、他の皆様も色々チクチクと。

 本当に勘弁してくれ、もう過ちは繰り返しませんから。


 結局おみやげのハムとチーズが全滅した事で査問会は終了となった。

 要はこれらを食べたかったんじゃないかと思っても言ってはいけない。

 そんな立場じゃなかったし。


 そして次の朝は5時に起きて善光寺の朝の勤行を見学。

 俺と月見野先輩と風遊美さんと香緒里ちゃんは満足の朝食を食べ一服後、バスで長野駅へ。

 長野駅内及び周辺でお買い物をした後、新幹線で東京へと帰る。


 東京駅で山手線に乗り換え目黒駅で下車。

 坂を下り徒歩5分位で建物入口に到達し、建物内なのに川が流れている横を歩いてエレベーターで8階に上る。

 そこのホテルフロントに荷物を預け、またエレベーターで下りて1階へ。

 左2軒めの店が昼食予定のホテルビュッフェをやっているレストランだ。


「今日はここ宿泊だから思う存分食べてよし。ただチェックインは午後3時からだからな」


 ちなみに今は午後1時で予約は90分。

 ゆっくり食べてゆっくり移動すればチェックイン時間。

 なので遠慮はいらないし、かなり肉に飢えている連中も多そうだしな。


 皆、スタートとともに勢い良く出ていく。

 俺ものんびりと取りに行く。

 とりあえず牛もも肉のグリルはキープして、オープンサンド3種もキープ。

 あとは……ソーセージとマカロニチーズもかな。

 あとはサラダを色々。


 なんやかんやでいっぱい取りすぎてしまったので、席に戻ることにする。

 誰も戻ってくる気配は無い。

 どうも健全すぎた食生活で皆飢えた野獣と化しているようだ。

 あの月見野先輩や風遊美さんまで何やら獲物を狙う感じで色々物色している。

 ちなみに小型にして燃費最悪な誰かは既に山盛りの皿等を1度置いてまた物色中。


 俺が冷たい紅茶を飲みながらのんびり待っていると、やっと2番手香緒里ちゃんが戻ってきた。

 内容は俺とほぼ同じ。サンドイッチ、肉少々、サラダ大量ドレッシング複数かけ、冷たい紅茶、デザート色々だ。


「何か皆異様に取るのに熱中しているよな」

「そろそろ洋風の食事が恋しいですし。由香里姉も何か凄い気合入っていましたから」


 月見野先輩や風遊美さん等も戻ってきた。


「どうしますか。皆時間かかりそうですし、先に始めますか」

「もう少し待ちましょうよ。皆が色々欲しくなる気分もわかりますし」


 そうしているうちに理奈ちゃんが戻ってきた。

 肉、肉、ソーセージ、カジキのグリル、ジャーマンポテト、マカロニチーズと緑色が見当たらない思い切った選択だ。


「よく考えたら、足りない分はいくらでも取りにいけるのですよね。だからシンプルに第一に食べたいものだけを優先しました」


 そして……

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