第323話 今日は普通に旅行します

 今朝も温泉三昧から始まった。


 朝4時30分に起こされ、旅館内の入っていない風呂を制覇した後、朝6時ちょうどに残りの外湯、大湯に入る。

 やっぱり熱すぎたので10分以上水を入れたような気がしたが何とか食事前にクリア。


 食事後もう一度館内を回り、午前9時に階段登って渋高薬師に行って手ぬぐいに判子をもらい、外湯めぐりはクリア。

 そして更にぎりぎりまで館内の貸切風呂に入り、チェックアウトしたのは10時ちょうどだった。


 風呂も造りも食事も温泉街も何もかも良かったのだが、俺個人としては次は別の宿にしようと固く思ったのだった。

 何故かと言うと、この宿は貸切温泉を自由に使えるからだ。


 空いていれば中に入って鍵をかければ自動的に貸切温泉。そのシステムは大変に素晴らしいし、ひとつひとつの風呂も色々凝っていてなかなかいい。

 ただこの形式だと、まっとうな人々ならともかくうちの連中は勝手に混浴化してしまうのだ。

 そして小さな湯船で4人位というのは、10代後半の健康な青少年にとって刺激が大き過ぎる。


 後でこっそり話を聞いてみると、ルイスも同じ意見だそうである。

 ルイスの場合は随行人員が多かったためもっと酷い目にあったらしい。


 という訳で俺達2人の結論だ。

 この宿は本当にいい宿だ。

 作りは最高にいい感じだし、料理もいかにもという感じで悪くない。

 でも俺達にはあっていない。

 次は別の宿にしよう!


 さて、バスで湯田中に出て長野電鉄の各駅停車でのんびり1時間ちょっと、地下鉄のような作りの善光寺下という駅でおりて徒歩8分。

 ほぼお昼ちょうどに本日の宿であるお寺についた。

 ここで荷物を預かってもらい、昼食を食べに街に出る。


 なお女性陣はなにやらお目当てのスイーツな店があるらしい。

 なので宿帳上はいつも同じ部屋の筈なのになかなか同じ部屋にも同一行動にもならない俺、ルイス、ロビーの3人で店を探す。


「何がいいデスかね」

「今日の夕食は精進料理だからな。つまり肉魚等無しのベジアリアンな料理だ」


「なら昼は肉だ。ごっついのがいい」

「同意デス」


 昨日の宿、どうもルイスやロビーにはパンチが足りなかったようだ。

 という訳で色々見てみたのだが、どうも蕎麦屋ばかりでガッツリ系が見当たらない。

 本当は焼肉食べ放題なんていうのが正解なのだろうが。


 結局定食もある系の蕎麦屋に入って、3人とも量が多そうなソースカツ丼、そば、サラダ等が大きな器に入った弁当形式のものを頼む。

 結果的にはこれは結構美味しかった。カツ丼のソースはさらっと甘めでカツも充分厚い。蕎麦も食べてみると結構今まで食べたものと違って美味しい。


「思ったより良かったな」

「もっと肉食べたいデス」

「明日の昼まで我慢してくれ。明日の昼は高級バイキングだ」


 この後は女子組と合流して善光寺見学だ。

 本日宿泊する宿坊の方が案内をしてくれる予定。

 待ち合わせの10分前、午後1時20分に全員集合が完了した。


 女子組は近くに有名なスイーツの店があるらしく、そこでパンケーキを食べてきたそうだ。

 詩織ちゃんはその店のものらしい紙袋を下げている。

 気の早いお土産だろうか。

 食べ物だといたまないかな、夏だし。


 そして本職の坊さんが案内する善光寺見学がスタートする。

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