第301話 いいのかこんなプレゼント

 台詞の後、奈津希さんが復活するまで1分少々かかった。


 そして奈津希さん宛プレゼントの品評会へと話題はうつる。


 まずは一番問題が多そうな枕カバーだ。

 ジェニー画伯渾身の大作が1枚ずつ応接セット側に広げられる。

 勿論表になっているのはより刺激的な絵面の側だ。

 萌え絵化された面々が浴衣姿で、しかも全員前をはだけている。


「このジェニーの枕カバー凄いな。洗っても大丈夫なのかい」

「既に2回洗って色落ちを確認したので大丈夫れすよ」


 いや、凄いのはきっとそこじゃないから。


「でも可愛く描けているよね」

「R15指定位でしょうか。問題は無いですよね」

「しかし良く特徴掴んでいるよな。誰だかすぐにわかるぞ」

「露天風呂で色々特徴をチェックしたのれす。浴衣の下まで確認済みれす」


 おいおい危険な発言だそれ。

 案の定俺まで脱がされている。


 しかも下、もろ俺のいつものパンツだ。

 いつの間に観察しやがった。

 まあ洗濯物をベランダに干しているから観察しようと思えば出来るんだけどさ。

 そして一番問題のある絵は予想通りルイスの裏面だった。

 割られた眼鏡が外れて浴衣も強引に脱がされたらしく破れ、しかも顔を赤らめた絵になっている。


「Webでもルイスの絵は色々と需要があるのれすよ。誰とカプしても評判いいれす」


 カプって何だ。

 でも聞いたらきっとまずいんだろうな。

 無視しよう。


 卒業生から1年生まで全員剥かれた危険なイラスト鑑賞会を終え次に移る。

 そして。


「修のこのボールペン見るからに怪しいよね」


 由香里姉に見つかった。

 由香里姉はボールペンを手に取り一瞬驚いた表情をした後、ふふんと頷く。


「成程ね。修らしいわ。でも大分腕を上げたようね」


 という訳で全員で持ってみて性能チェック。


「おーおーこれは凄い」

「今はここまでパワー付けられるのですね。出来るのは多分修君だけでしょうけれど」

「まあ奈津希なら持たせても問題ないでしょうね。ただ他の魔法使いには触らせない方がいいでしょう」


 という感じで品評して、最後に本来の持ち主となる奈津希さんへ。

 奈津希さんはボールペンを持って目を瞑る。


「成程、前にテストしたのはこれの試作品だったのか」

「そうです。これが最終完成品です」


「そう言えばヒデアキが修にとんでもないボールペン貰ったと言っていたけれど」


 今、奈津希さんは何気に失言をした。

 他の人が気付かなければいいけれど。

 俺はあくまで気づかぬ様子のまま話を続ける。


「あれは同じボールペンですけれど、少しセッティングが違います。あっちの方が増幅率が高くて拡散系ですね」


「ねえ、ところでヒデアキって誰?」


 あ、女王様ゆかりねえがお気づきになってしまった!

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