第298話 プレゼントは誰のもの?

 俺も手持ちのカードを開く。

 相手はジェニーのようだ。


 何だろう。

 いつもの言動からして微妙に不安。


「それではプレゼンターは学年上順でいきますね。最初は由香里から」


 由香里さんがそこそこ大きめの箱を持ってくる。

 そして受け取るのは理奈ちゃんだ。


「開いて確認してみて下さいな」


 との月見野先輩の言葉で理奈ちゃんが包みを開く。

 出てきたのは若草色の小さめのディパック。


「魔技大とメーカーのコラボ製品の試作版よ。使い勝手はまだ完全に確認済ではないけどね」


 よく見ると両側がステッキホルダーになっていたり、メインの出し入れ口にがま口タイプの口金が入っていたりと色々凝っている。


「何か使いやすそうなのです」

「一応私が色々お願いして設計して貰ったからね。A4サイズの教科書も入るし、ステッキも背負ったまますんなり出せるはずよ」


 確かにうちの特区ではかなり便利そうだ。

 荷物を持っていても両手が開くし、杖を取り出すのも簡単だし。


「ありがとうございます。大事にします」


 と早速理奈ちゃんは背負って確認している。

 黒ゴスロリに若草色のディパックが妙な似合い方をしているのが笑える。


 そして次は鈴懸台先輩だ。

 持ってきたのはごくごく薄い箱。


「実はルイスで良かったと思っているんだ。相手が修あたりだと意味が無いしな」


 何だろう。

 出てきたのは手書きの紙片5枚。


 紙面には『私と対戦権 1枚につき1回分 無制限有効』と記載されている。

 由香里姉と月見野先輩が同時に吹き出す。


「何なのよ翠、このノリは」

「小学生や幼稚園児が母の日に作ったお手伝い券レベルですわね」


 なかなか辛辣だ。

 でもルイスは微妙に嬉しそうだ。


「早速休み明けに使わせて貰います」


 で、次は月見野先輩。

 相手は何と鈴懸台先輩だ。

 ものは『えりくさあ』と書かれた怪しい液体入り薬瓶。


「対戦券でルイス君にのされた時等に使用してくださいね。飲めば内臓等用、かければ傷等外科用。効果は期待していいと思うけれど味は保証しないわ」


 との事だ。


 以降は

 風遊美さんの『ドイツ製革製カードケース』が香緒里ちゃん。

 奈津希さんの『北海道スイーツ詰め合わせ』がロビー。

 俺の超小型魔法杖が月見野先輩。

 香緒里ちゃんの『ブローチネックレス(幸運効果入り)』が由香里姉。

 ルイスの『アイルランド製の銀の指輪』が詩織ちゃん。

 詩織ちゃんの『護り刀』が愛希ちゃん。

 ソフィーのメイプルシロップ詰め合わせが奈津季さん。

 愛希ちゃんのピンクゴールドのハート型ネックレスがジェニー。

 理奈ちゃんのシルバーのティアドロップ型ネックレスが香緒里ちゃん。

 ロビーの改造済10インチタブレットPCがソフィーの手に渡った。

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