第297話 騒がしい夜の始まりだ
今回は人数が多いので、クリスマスケーキも大きい。
円形を14人でカットすると1枚ずつが薄くなるので、今回は長方形だ。
ケーキの種類は例によって奈津季さん曰く『正しい仕様』の白色イチゴ入り。
1年生3人によるシャンメリー開栓でパーティがスタートする。
ケーキは例によって俺の魔法で7✕2にきっちりカット。
そして食べるとやっぱり美味しい。
スイーツに乏しい島といえど、島外へ出たり学園祭なりで結構俺たちは食べている。
それでもやっぱりこの奈津希さんのケーキは美味しいと感じるのだ。
さて、ケーキが終われば料理の番。
チキン丸焼きにフライドチキンと、鶏虐殺祭りなメニューが並ぶ。
具のためにためわざわざ海に出たという手巻き寿司も健在だ。
「去年もこんなパーティやったのかい」
「そうみたいよ。私におすそ分けが残っていたから」
「悔しいな。1回分損した気分だ」
と鈴懸台先輩と由香里姉が話している。
ただ残念だけど来年はこんな感じには出来ないんだろうな、と俺は思う。
何せパーティの主力の奈津季さんがいなくなってしまうから。
そういう意味では最後にして最大のクリスマスパーティかな。
俺達にとっても。
「それではプレゼント交換までしばしご歓談をお楽しみ下さい。あとカラオケはご自由にご使用下さい」
香緒里ちゃんのアナウンスで真っ先にカラオケ装置に動く奈津季さんと詩織ちゃん。
そして例によって猛獣対怪獣の戦いが始まる。
まあこの辺は毎週金曜夜に展開される恒例行事と同じなんだけどさ。
それにして露天風呂にカラオケ装置ってうちのマンション温泉旅館かよ。
まあ責任の半分は俺にあるような気もするけどさ。
それにしても俺も随分変わったよな。
1人が好きだったはずなのに今では島で一番騒がしい家の一員だものな。
でも今ではこんな生活もかなり気に入っているのだけれど。
それにしても奈津季さん、変な歌ばかり知っているな。
給食とみかんの次はファミレスか。
そんな歌どこで憶えてくるのだろう。
さて、そろそろ。
「お待ちどうさまでした。これよりプレゼント交換会を始めたいと思います。
それぞれ自席の左に立ってお待ち下さい」
そして何故か月見野先輩がカードを配る。
「去年の曲が長すぎたとお聞きして、交換用の曲を編集して持ってまいりました。テンポにあわせ、渡す、受け取る、渡す、受け取るとゆっくり回していってくださいな。なお曲は途中で切れますので、その時点で終了と致します」
今回は月見野先輩がこの部分に関与したわけか。
とすると絶対自分のプレゼントが自分に来る事もないし、自分に合わないプレゼントが来る事もないと思っていいな。
「それでは音楽を流しますわ。音楽内の手拍子にあわせてくださいね」
香緒里ちゃんがカラオケ装置をパソコンモードにして、クリスマス用.wavというアイコンをクリックして戻ってくる。
間もなく音楽が流れ始める。
曲そのものは昨年と同じ、WHAM!のいつものナンバーだ。
「そろそろ始まります。3、2、1、ハイ」
テンポよくかつゆっくりとカードを回し始める。
オオー、の処で手拍子が止み、音楽がフェイドアウト。
うん、長さも半分程度だし昨年より大分いい感じだな。
「さあ、ご自分のお持ちになっているカードを開いて、自分がプレゼントをいただく相手を確認して下さいな。自分で自分に貰う方はいらっしゃらないですよね」
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