第271話 カラオケは若者の定番です

 夕食は美味いし量も十分にあった。

 刺身天ぷら煮物焼き物という典型的な和の会席料理に、ひつまぶしときしめんが付いていた。

 昼に奇食を食べ過ぎたジェニーとソフィーは全部食べられなかった位だ。

 その残りを詩織ちゃんと復活したロビーで平らげていたが。


 夕食に満足してしまった事もあり、何か皆でだらだらした感じになる。


「えー、今日はカラオケ行かないれすか」

「うちは昨日やったしな」

「まだ今日以外にも街中で3泊あるからさ」

「うー、じゃあ後でラーメン食べに行くです」


 例外はさっさと風呂に入って戻ってきたジェニーとソフィー。


「これから夜の部を攻めにいくれす」

「夜の部って何だ」

「日本の誇る漫画文化を堪能しに行くれすよ」

「漫画喫茶で漫画を読みまくってきますデス」


 おいおい、体力大丈夫か。


「朝御飯までには帰ってこいよ」

 腐女子2人が護衛兼小間使いのロビーを連れて北米組が出ていく。

 ロビーも色々大変だな。


「やっぱり、うちも負けていられないです。香緒里先輩、風遊美先輩、行くのです」


「行ってらっしゃい」

 ささっと逃げたがやはり詩織ちゃんに捕まる。


「修先輩も当然参加なのです」

「何を」

「カラオケの練習なのです。攻撃魔法科に負ける訳にはいかないのです」


 別に勝ち負けやっている訳じゃないのだが。

 半ば無理やり詩織ちゃんに連れられ、名駅にあるカラオケボックスへ。

 21時までの学生料金で入り、ドリンク持って部屋へ。


「何か詩織ちゃん、慣れているな」

「姉貴と東京で何回か行ったですからね」


 成程、ならこの中では一番詳しいだろう。

 特区にカラオケは無い。

 個室に入り、分厚い本を渡される。


「これで歌いたい歌があれば探すですよ」

 詩織ちゃん自身は備付タブレットで慣れた手つきで曲を探して入力する。


「このタブレットを使って検索もできるですよ。それでは」


 曲が始まり、詩織ちゃんがマイクを持つ。

 えらい派手な曲だ。

 全く俺の知らない曲だが、こういうのが今の流行りなのだろうか。

 何せ芸能関係は全く興味が無いので、全然わからない。


 だから歌いたい曲と言われても、そもそもどんな曲があるかすら俺は知らない。

 見ると香緒里ちゃんは何とか1曲入れた模様。

 風遊美さんは香緒里ちゃんにアドバイスを受けながら探しているようだ。


 それにしても詩織ちゃん、妙に慣れているしノッている。

 片手を振り上げたり裏声つかったり、なんかもう。

 一応手拍子で応援してやるが、正直俺はこんなのする自信無いぞ。

 最後のサビまできっちり決めて、詩織ちゃんはマイクのスイッチを落とした。


「さあ、どんどん入れるですよ。修先輩入れたですか」

「いや、だって歌える曲をそもそも知らないし」


 詩織ちゃんにすごい大げさなため息をつかれる。


「だろうと思ったのですよ。なら修先輩は特訓なのです。フリータイム時間のみできっちり仕上げるのです」


 香緒里ちゃんの歌を片手で応援しながら、詩織ちゃんは勝手に曲をタブレットで入れる。

 同じ曲を3回だ。


「一緒に歌ってあげるので特訓なのですよ。覚悟するのです……」


 何故だ。

 どうしてこうなった。

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