第269話 今日から名古屋で2連泊

 時間的には良く眠れたと思う。


 身体的には疲れはきっととれているのだろう。

 しかし精神的にはその限りではない。


 あの体勢は皆で夢の中に入る体勢。

 香緒里ちゃん十八番の魔法だ。

 そして夢の中の同じ部屋、同じ布団に同じ面子の中で。

 人間解剖と称する恥ずかしい話大会とかカラオケ大会とか枕投げとか、まあ色々やった訳だ。


 なので眠れているのか眠れていないのか、妙な感じだ。

 それでも朝風呂で無理やり目を覚まし、4人で朝食を食べ散歩にも出る。


 朝食はいかにも正統派日本の正しい旅館の朝御飯という感じ。

 これもなかなか美味しかった。

 それでも詩織ちゃんには少し足りなかったらしく、朝散歩中の朝市やもう開いている店頭で色々買い食いをしていたが。


「いい街です。また来たいですね」

 風遊美さんの言葉に香緒里ちゃんも頷く。

 2人はこういう雰囲気の場所が好きだからそう思うのだろう。

 でも詩織ちゃんはどうだろう。


「そうですね。買い食い美味しいからまた来てもいいのです」

 やっぱり君はそっちか。


 富山から乗ったのと同じ特急に乗って今度は名古屋まで。

 相変わらず駅弁を2個食べた奴がいるのはお約束。

 名古屋駅から歩いて5分の今日の宿に荷物を預ける。


「今日はちゃんと夕食があるので、17時までに集合です。なおチェックインは15時からで、最初に来た人はチェックインお願いします。長津田の名前で11人で予約といえば通りますから」


 まあ本当は15時過ぎには俺が来てチェックインする予定なのだが。


「あと今日の昼と明日の昼以降の食事は予約していませんので、勝手に食べて下さい。この街は美味しいものも変なのも大量にありますのでセンスにおまかせします。では解散!」


 やっぱり北米組が最初に出ていく。

 そして。


「とりあえず残った皆で飯喰わないか」

 奈津希さんから提案があった。


「そうですね。チェックインまでそれほど時間も無いし、とりあえず名駅で軽く食べましょうか。夕食は名古屋名物入りで結構豪華らしいですから」


 という事で北米組以外の8名は再び名駅へ。

 ビックカメラ横から地下に入る。

 うろうろしていると、すーっと詩織ちゃんが味噌カツ店に吸い込まれそうになる。


「これちょっと待て。皆の意見を聞いてから」

「いいんじゃないかな名古屋名物だし。味噌カツでまずい人」


 誰もいない。


「なら入ろうぜ。席もありそうだし」


 ちょうど需要を外した時間だったのだろう。

 2人がけ横並びの席4つをくっつけて8人席に出来た。


 皆でメニューを見て色々頼む。

 俺は素直にみそかつ丼キャベツ味噌汁付。

 主流は俺と同じだ。

 ただ問題児はやっぱりいる訳で。


「黒豚わらじとんかつ定食に、どて煮とロース串かつ5本と特製焼豚なのです!」

 誰が頼んだのかは、まあ予想通りだ。

 まあこいつは食べ残した事は無い。

 だからもう放っておこう。

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