第266話 買っては食べて、また買って……
風遊美さんはどうも、外国人旅行者が好きなそうな『いかにも日本風』というのがお好みのようだ。
香緒里ちゃんもほぼ同じ傾向。
そして詩織ちゃんは食欲優先。
だから4人一緒だと、食べて歩いては旧家を鑑賞し、また食べてという感じ。
詩織ちゃんがそこここで食べ物を発見しては買ってくる。
つられて俺達も飼い食いしているうちに腹一杯になってしまった、
しかも美味しい食べ歩き物が何故かこの街は多い。
牛串焼きとか飛騨牛コロッケとかテイクアウトの牛握り寿司とか。
他に飛騨牛の肉まんも食べたしみたらし団子もう1串食べたし他にもアイスソフトを……
そんな感じで歩いて食べ、歩いて旧家を鑑賞しとしていると、いつの間にか時間が経っていた。
時計は午後3時40分を回っている。
幸い集合地点の旅館は街中で簡単に戻れる。
旅館についてチェックイン手続きをしていると、他の2組もやって来た。
「パスタファリアンとしては、高山ラーメンは外せないれす」
見た目と匂いでラーメン食べて民芸品屋で色々買い込んで来たのがわかる北米組。
背負ったディパックにさるぼぼが下がっているあたりがもろ外国人観光客。
「こういう古い街は初めてだけど楽しいな」
と言う奈津季さん所属の攻撃魔法組は飛騨牛を食べてきたらしい。
焼肉の匂いが服に残っている。
まあ、それぞれ楽しんだようで何よりだ。
今回の宿は街中で、場所的に便利な代わりに館内のアメニティは期待出来ない。
一応男女別の風呂はあるけれど、それ位だ。
なお予約した部屋は6畳の和室4部屋。
どの部屋で誰が寝るかはいい加減になるのだろうけれど。
今は歩いた班と同じ組み合わせで3部屋使っていて、1部屋はまだ使っていない。
「いかにも昔ながらという感じで楽しいですね」
「本当ですね。いかにも古い街に来たという感じです」
コテコテな古い宿なのだけれど、風遊美さんと香緒里ちゃんは気に入ったらしい。
確かに風情があると言えばあるのだろう。
古臭いと言えない事もないけどさ。
「晩御飯はどうする。どこかへ食べに行くか」
今日は宿の夕食は頼んでいない。
勝手に行け、もしくは買ってこいという事にしている。
「そうですね。食べるところは結構ありましたし」
「私は買い出ししたいのですよ」
詩織ちゃんは買い出し派のようだ。
「せっかくいつも行かない所に来たのですから、そこの土地の人が普段食べていそうなものを食べてみたいのです。レストランなんかは所詮よそ者や特別な日対象なのです。地元スーパーで買い出しする事こそ王道なのです」
あ、いかん。
何となく真っ当な意見に聞こえるぞ。
本人はただ食欲のままに色々買いたいだけなのだけれどさ。
「そうですね、それも楽しいかも」
ほら、香緒里ちゃんが騙された。
「そうですね、昨日みたいに買い出しも楽しいです」
風遊美さんまで。
仕方ない。
「じゃあ行くか」
一応近くのスーパーマーケットについても調べてある。
線路渡って300メートル位と案外近い。
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