第22章 ひとつだけの嘘~夏の旅行・後編~
第265話 今日は朝から動きます
俺は完全に寝不足だった。
夜中過ぎまで部屋で盛り上がった挙句、風遊美さんと詩織ちゃん2人で俺のベッドで寝てしまったのだ。
コンパクトサイズの2人だからシングルベッドでも充分2人で寝られる。
でも当然俺が寝られるスペースなど残っていない。
でもこの状態の2人を残して他の部屋にいくのも何かひっかかる。
結局俺は部屋の椅子で仮眠を取るだけとなってしまった。
まあ2人共騒ぎはしなかったので、他の客に迷惑がかからなかっただけいいという事にしよう。
でも今朝は何気に出発が早い。
おかげでホテルの朝食も、あまり喉に通らない。
「修兄、大丈夫ですか」
「大丈夫、単なる寝不足」
朝食の食堂で香緒里ちゃんに心配される始末。
そして勘がいいと言えばこの人だ。
「ひょっとして修、昨晩ハオ楽シミデシタネ」
「それはもう、風遊美先輩と私の3人でしっぽりと、なのです」
「まあ何てイヤラシイ。私、嫉妬シチャイマスワヨ」
「そういう事態じゃないですから」
「すみません、昨日は」
「大丈夫ですよ」
恐縮している風遊美さんに出来るだけ寝不足を見せないように返す。
今日も予定は実はそこそこにハードなのだが。
朝8時発という早い出発の電車で高山に向かう。
ディーゼル特急だが見た目は電車と全く変わらない。
快適な振動に揺られてうとうとしていると、もう目的地の高山だ。
なお朝食のバイキングを人一倍食べた癖に、弁当2種類を持ち込んで食べていた奴がいたようだが、まあ気のせいだ。
実は俺も一口いただいたが、ますのすしは確かに美味かった。
それで俺の寝床を奪った罪を帳消しにするつもりはないけれど。
◇◇◇
さて、こんな早い電車に乗った理由は簡単、高山の朝市を見たかったからだ。
駅から歩いてすぐの今日の宿に荷物を預ける。
「ではこれから観光です。朝市もお昼まではやっているらしいです。ただ、あんまり変な物は買わないように。あとは宿はチェックイン4時だけど5時頃までには戻ってくるように。以上解散」
そういう訳で、別れて観光になる。
今回は攻撃魔法科組、北米連合、俺を含む残り4人と別れた。
早速一番の問題児が食べ物を発見する。
ダッシュで走って買ってきたのは、みたらし団子。
しかし良く見つけるな。
俺が店に気づく前にダッシュしているし。
「う、これ甘くない。でも何か美味しいのです」
てっきりよくあるみたらし団子かと思ったが、どうも違うようだ。
「どんな味なんだ」
「うーん、1個だけ許すのですよ」
串を渡してくれたので食べてみる。
あ、甘くないというか醤油味だ。
違和感はあるけれど、確かに美味しいかも。
※ この櫛団子、正しくは『みたらし』ではなく『みだらし』と濁るそうです。ただし長津田君達は気づいていないので、本文中ではあえてにごらずに記載しています。
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