第257話 夏の予定はぎっしりと

 ちなみに今の俺の表作業が魔道具作成ならばだ。

 裏作業はバネ工場の番頭で、さらにもう一つの仕事が旅行の幹事だ。


 今年の旅行は風遊美さん筆頭に総勢11人という大人数になった。

 つまりは高専在籍中の学生会・元学生会関係者全員だ。

 既に宿は取ってあるし、交通機関もほぼ手配済み。


 今度は北アルプスの麓の温泉に行って、山越えで日本海側に渡り、さらに高山へ行って、おまけで名古屋で2泊東京でも2泊の予定だ。


 ちなみに意見は色々聞いたが反映しているかは別問題。

 こういうのは意見を聞き過ぎても最大公約数的な面白くないものになるから。

 だから俺による独断と偏見で決めさせてもらった。


 なおこの旅行の直後に俺は合宿免許で免許取得する予定。

 なので夏休み、予定はぎっちりだ。

 ただ強制労働3日間☓2回で、バネ作業の方は問題ない予定。


 そんな訳で今の俺の最優先課題は、実は旅行パンフレット作成だったりする。

 今回は自由行動の日も結構作ったので、早めに計画を渡して自分達で調査する時間も作りたいし。


「楽しみですね、夏休みの旅行」

 既に日程は5月頃から、行き先の概略はつい今発表した。


「今度は東京で2泊れすか。アキバだけでなく乙女ロード満喫れきますね」

「今度はアキバで大人のお買い物なのですよ」


「というかこんな豪華な旅行、学生会費で出るのか」

「出るわけないだろ。その分の労働が待っている」


「ってタコ部屋とか蟹工船とか女工哀史とかですか。わくわく」

「なんでそれでわくわくするんれすか」

「理奈は昔からこういう奴なんだ。気にしないでくれ」


 既にこんな感じだ。


「頼むから再試験にはなるなよ。再試験で労働できない場合は別の日に強制労働させるからな」


 高専の試験は厳しい。

 おおよそ1割が最初の試験で不合格となり再試験になる。

 その半分は再試験でも不合格となり落第決定。

 普通の高校より強烈にシビアな世界なのだ。

 まあきちんと予習復習をして、わからない部分を作らなければ楽勝なのだが。


「わからない部分があればそれぞれの学科の先輩に聞いておけよ」

 幸い学生会だけあって成績優秀者には恵まれている。

 例えば風遊美さんや奈津希さんや香緒里ちゃん。

 この辺に聞いておけば問題になるような事は無いだろう。


「そう言えば詩織ちゃん、義足の課題は出来たのか」

「あとは外見だけなのですよ。機能的には完璧なのです。ジェニーさんの義足を凌駕するパワーと機能なのです」


「まさか飛行したりとかはしないよな」

 詩織ちゃんだけに、何を作るかわかったものじゃない。


「空は飛びませんけれど、重力緩和魔法は入れたのですよ。ビル4階位ならジャンプ出来るのです。

 本当はマシンガンと迫撃砲を仕込みたかったのですが我慢したのです。私も大分大人になったのです」


 いや、それ違うから。

 大人はそもそも義足にマシンガンとか迫撃砲とか考えないから。

 というかどこの004だよ、それ。

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