第248話 これで3人確保した!
そして2人の自己紹介の番だ。
まずはツインテールの方が口を開く。
「松原愛希、攻撃魔法科1年に入学した。前は術式学園の中等部攻撃魔法科にいた。使える魔法は炎関係一般」
「術式学園って、奈良の山の中にある奴か」
俺の質問に彼女は頷く。
特区外では日本最大級の魔法関連の教育機関だ。
私立で幼稚舎から大学院まで揃っている。
「成程。魔法が実践的な訳だ」
「でもルイス先輩にも詩織先輩にもかすりもしませんでした」
「尊敬すべき先輩に色々叩きこまれたからな」
その言葉にそれ以上のルイスの思いを感じるのは俺の気のせいだろうか。
そして次のポニーテールの女の子。
「私は山下理奈、愛希と同じ攻撃魔法科1年で同じく術式学園中等部の出身でーす。得意なのは氷関係魔法かな」
「2人共同じ学校の出身なんですね」
香緒里ちゃんの言葉に2人は頷く。
「ここ出身の先生に焚き付けられまして。うちの高校よりこっちの方が世界各地から集まる分、実戦的なライバルが多いって」
「でも確かにそんな感じだ。負けたから言う訳じゃない」
ルイスが頷く。
「でもその先生も出来る人だ。2人共魔法の発動が新1年と思えない位早い。多分その先生に地道に鍛えられたんだろう。作戦だの対策だのは後付でどうにでもなる。ただ基本は小手先では身につかない。地道で辛抱強い練習だけが頼りだ」
「上町先生と同じ事を言ってる」
「僕も後でそれに気づいたからさ。シュヴァルツヴァルト時代は気づかなかった。
そうだ、2人共今日の夜は空いているか」
不意に何かを思いついたように、ルイスは2人に尋ねる。
「特に何もありませんけれど……」
「ここに入ることにしたからな。他の誘いは無視してもいいだろう」
2人が相談。
成程、研究会やサークルの新歓シーズンか。
「会わせたい人がいるんだが、大丈夫か」
「大丈夫です、けれど」
「ならタオルと着替えを持って6時に校門前集合、夕食はご馳走する」
俺はルイスが何を考えているか気づいた。
今日は金曜日、という事は皆が集まる日だ。
「今日は随分積極的だな」
「僕もあれは苦手だ。でも今日は金曜だから皆集まる。なら実際に色々会っておいた方がいい。僕の経験からそう思う」
この場合の苦手なあれとは露天風呂の事だ。
「何かしらないけれど、着替えって何で必要なんだ」
理奈ちゃんの疑問はもっともだが、今言うとひかれそうなので言えない。
「大丈夫ですわ。身の危険は無いです。やましいことは……ア、リトーですね」
ソフィー、それだと『無い』ではなく『少しはあるよ』じゃないか。
まあ否定は出来ないけれど。
「なら夕食担当にSNS入れておくよ。2人プラスで歓迎料理お願いって」
あえて奈津希さんの名前は出さない。
「なら私も連絡しますね」
香緒里ちゃんもスマホを弄り出した。
多分由香里姉に連絡しているんだろう。
今日も騒がしい夜になりそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます