第234話 3日目の朝は惨憺と
俺は朝は強い。
だからルイス君が起き出して何かため息をついた後、風呂道具を持って逃げるように出ていったのに気がついた。
他の面子はまだ完全に寝入っているようだ。
どれどれと俺も起きてみて、ルイス君がため息をついた理由を理解した。
これは酷い、という光景がカーテン越しの外光の中で広がっている。
暖房がやや効きすぎていたせいか、全員布団から出てしまっている。
そんな問題じゃない位寝相が酷いのも数人居るが、それ以上に酷いのが服装だ。
寝ている間にはだけまくっている。
はだけた浴衣からほぼ全員ノーブラ・ノーパンなのも確認できる。
詳細を確認は出来ないけれど。
俺の理性が危険だから。
だから俺もタオルを片手に部屋を脱出する。
鍵をかける必要は無い。
悪意のある人間に対してのジェニーのレーダーは完璧だ。
今そのまま風呂に行くとルイス君と出くわす。
気まずい事態になりかねないので、仕方なくロビーで新聞を読んで時間を潰して。
それでも早朝の露天風呂はなかなか気持ちいい。
空気が冷たいのもまたいい。
そんな感じで一人で早朝露天風呂を謳歌していると。
ガラガラ、と戸を開ける音。
男子側の扉ではない。
どうやらちょっと時間をかけすぎたようだ。
女子が来る前にそそくさと俺は脱衣所へ。
◇◇◇
そんな朝だったけれど。
いかにもという感じの美味しい和の朝食を食べて。
更に露天風呂に集団で浸かって。
チェックアウトぎりぎり時間まで粘って、そしてまたバスに乗る。
今度は20分程で下車。
3分程歩くとホテルの玄関だ。
でも俺達が泊まるのはさらに奥のコテージだ。
まだチェックインまで時間があるので荷物を預け、取り敢えずはレストランへ。
まだ冬の空気が若干冷たいというか寒い。
ちなみに俺達が普段暮らしている聟島は冬でも気温は17度位。
暑がりの俺だと長袖シャツとトレーナーがあれば充分だ。
でも今回の旅行はそうも行かないので、全員アウターだけは買って来た。
だから下は結構いい加減な服装。
なので寒い。
まあ寒いというのも久しぶりで新鮮な感覚ではあるのだが。
幸いレストラン内は暖房がガンガンに効いていた。
ちなみにここはバイキングだ。
なので一応注意をしておく。
「お約束ですが、自分の食べたい物を自分の食べられる分だけ持ってきて下さい。なお今日の晩御飯も明日の朝御飯もバイキングなので欲張る必要はありません。それではどうぞ」
という訳で皆取りに出ていく。
先日の焼肉の件もあったし、今度は大丈夫だろう。
俺も心置きなく取りに行くことにした。
向こうで焼いているステーキが美味そうだ。
のんびりステーキが焼きあがるのを待ち、サラダとピザとオレンジジュースを取って俺が戻ると、既に香緒里ちゃんと奈津季さんが戻ってきていた。
香緒里ちゃんはパスタとサラダとトマトジュースという感じ。
奈津希さんはいま出ているケーキ全種類と紅茶、以上!という凄く偏った感じだ。
そしてやはりバランス型の風遊美さんも戻ってくる。
「何かこの旅行、食べ過ぎになりそうな感じです」
「風遊美さんもそう思いますか。私もそろそろ不安で」
「食べた分は動けばいいさ。どうせこの後温泉プールだろ」
その間に戻ってきたルイス君は、肉肉肉肉パン、という感じ。
4人4様だなと思っていると、北米組と詩織ちゃんが戻ってきた。
見て思う。
君たちこの前の焼肉の時の反省はないね。
そんな感じだ。
例えるなら量を間違えたお子様ランチ。
統一感など何もない。
とにかく目につく物を乗せられるだけ乗せてきた感じだ。
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